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長月タケオ選「中高年の性告白」第64回 岐阜県在住Y・Tさん(68歳)の告白【夢のごとき避暑地の恋】

このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長

【夢のごとき避暑地の恋】

Y・T 68歳 東京都在住

まず名前をたずねた。

「わたし? わたしは優子」

森の中を通り抜ける涼風のような声で彼女は答える。

「あなたは?」

「ボクは……」

わたしは自分の名を告げる。

「すてきなお名前ね」

彼女は微笑を浮かべて言った。

それは50年前、わたしが高校3年の夏のことだった。

大学受験を翌年にひかえたわたしは、暑い都会を逃げ出し、祖父母の住む軽井沢に向かった。理由はもちろん、受験勉強にいそしむためだ。

そのころの軽井沢は、本物の金持ちでしか別荘や住居を持つことが許されない雰囲気で、現在のような一般の観光客は少なかった。だれもが気品のある態度で街を歩き、喧騒とはまったく縁のない状態を維持していた。

祖父の住む家は木立が茂る森の中に位置し、夜になると耳に届くのは虫の音と遠くにひびくフクロウの鳴き声くらい。気温も低く、深夜ともなれば半そでが寒く思えるくらいだった。

そんな恵まれた環境の中で、わたしは日がな一日、机に向かい、教科書や参考書、問題集と格闘していた。

「あまり、根をつめると身体を壊しますよ」

わたしを気づかってくれる祖母は言う。

「たまには息抜きに散歩でも楽しみなさい。せっかくの軽井沢なんだから」

わたしは朝から昼間に寝て、夕方から早朝にかけて勉強するという生活を送っていた。闇が周囲をおおってくれたほうが集中もできるし、誘惑も少ないからだ。

その日、いつものように朝早くまで机に向かっていたわたしは、ふと祖母の言葉を思い出した。

「そうだな、せっかくだもんな」

わたしはそう思い、そっと家を抜け出て森の中を歩きはじめたのだった。

前の日に雨が降ったせいもあってか、薄い霧が立ち込め、地面は濡れ、草木もしっとりと潤んでいた。心地いい香りが辺りに充満し、わたしの勉強疲れも身体の中から抜け出るような感覚を味わった。

あてどもなく歩いていると、一人の少女がこっちに向かってくるのに出会った。花柄模様で丈の長いワンピースを身につけた、髪の長い、色白の少女だった。

わたしは彼女の面立ちを見て、しばらく足がすくんでしまった。それほどまでに少女は可憐で、気品に満ちあふれた雰囲気を醸していた。

少女はわたしに会釈を送ると、通り過ぎていく。わたしもあわてて会釈を返すが、頭をあげたときに、その姿は遠くに離れてしまっていた。

ひと目ぼれというのだろうか、その日からわたしは彼女のことが気になって仕方ない。祖母にきいてみようとも考えたが、なぜか恥ずかしくて言葉に出せない。けれど、会いたい思いはつのる一方だ。

そこでわたしは、毎日勉強を終え、朝になると彼女と出会った森の中へ出かけるようになった。

最初の数日は、どこをどう巡っても彼女に会うことはできなかった。そうなるとますます彼女への思慕が募り、勉強もまったく手がつかなくなる。

「このままじゃいけない、このままじゃダメだ」

頭ではそうわかっていても心が許さない。

わたしは朝だけでなく、昼も彼女を求めて森をさまよい、とうとう軽井沢を離れる日の1週間前を迎えた。

「もう、諦めるしかないのか」

わたしは落胆し、懸命に気分を改めるよう努めた。けれど、最後にもう一度、これでダメならすっぱり諦めようと覚悟を決め、初めて彼女と出会った時間に森へ出かけた。

「あ……」

彼女はいた。前と同じようにワンピースに身を包み、その日はツバの広い帽子をかぶり、1本の木に寄りかかりながらたたずんでいた。

喜びと驚きで立ちつくしていると、彼女もわたしに気づいた。そして、満面の笑みを浮かべて近づいてくる。

「やっと会えたね」

彼女は言う。

「会いたかった。あの日からずっと」

彼女はいきなりわたしの手を取り、握り締めて、じっと目を見る。その積極的な行動に、わたしはどぎまぎしてしまうだけだった。

名前をたずね、自分を名乗り、その日は少しだけ会話を楽しんだ。なんでも彼女、優子さんは、日光を浴びることのできない病気で、だから早朝しか外出が許されないらしい。

「それにね、暑いのもダメなんです。だから、夏はココで過ごすの」

「そうなんですか」

「けど、昼間に外で遊べないから友だちもいなくて、いつも一人ぼっち」

「だから、ボクを?」

優子さんは、はにかみながらいった。

「それもあるけど……、なんだか、あなたさんは違うって」

「違う?」

「そう……、運命って信じます?」

「運命……」

「はい、運命の人かなって。理由はわからないけど、そんなふうに思うんです」

それならボクも同じだ。わたしはそういいそうになりながら、なぜか言葉をさえぎってしまう。

「また、会ってくれますか?」

「もちろん」

「うれしい」

彼女はそういうと、わたしに抱きついてきた。そして軽く唇を合わせると、手を振りながら消えていった。

その日からわたしと優子さんは、毎朝、会うようになった。とはいうものの時間が限定されているので、他愛のない話をするだけだ。

けれど、わたしは彼女の姿を見、笑顔を見つめ、鈴を転がすような声を聞くだけで満足だった。

またたく間に1週間が過ぎようとしていた。わたしは優子さんに別れを告げなくてはならない。けれど、なかなか言い出せずにいる。

そして、最後の日が翌日に迫った。

「あの……」

「なんですか?」

「言いにくいんだけど」

わたしは明日、東京に帰ることを告げた。優子さんは少しのあいだ寂しそうな顔をしていたが、すぐにもとの笑顔に戻る。

「そうかぁ、仕方ないですね」

「ごめん」

「あやまることなんてないですよ」

そういいながら彼女は遠くを見つめる。

「一人ぼっちは慣れてます」

わたしは何も言うことができずにいた。

時間が過ぎた。太陽が高くなり、日差しも強まりはじめる。

「じゃあ」

彼女は立ち去ろうとする。わたしは引きとめようとしたが、言葉が思いつかない。

すると彼女は、わたしを見ずにポツリとつぶやいた。

「きょうね、ママもパパも留守なの」

「え?」

「わたしの別荘は」

優子さんは遠くを指差す。

「表札があがってるから」

わたしは言葉の意味を考えながら、何かを言い残した彼女の背中を見送った。

その日の夜、わたしは懐中電灯を手に、優子さんが指差した辺りをさがした。何軒かの別荘を訪ね、そしてようやく彼女の苗字が記された表札を見つける。

「ここか」

わたしは激しい胸の鼓動で昏倒しそうだった。しかし勇気を振り絞り、呼び鈴を押す。

優子さんは、すぐに姿をあらわした。

「ようこそ、お越しくださいました」

にこやかな笑顔。しかし、ほほに涙の跡が残っているのを、わたしは見逃さなかった。

優子さんがいったとおり、彼女は一人でわたしを待っていてくれた。通された彼女の部屋は物が少なく、少し薬の臭いがした。

取りとめもない話をし、時間は過ぎた。朝になれば彼女と別れなければならない、その思いがいつしか口を重くする。それは彼女も同じだった。

いつの間にか互いに言葉を失い、沈黙だけがただよった。

「でも、あなたに会えてよかった。今年の夏は、これで十分です」

「そ、そんな!」

わたしは思わず声を大きくしてしまう。

「来年の夏も来るから。いや、軽井沢でなくても会いに行くから」

彼女は、いまにも泣き出しそうな目でわたしを見る。

「約束してくれます?」

「もちろん」

「言葉だけじゃ、ダメ」

優子さんはそういうと、わたしの手を取って立ちあがり、別室へいざなう。そこは寝室だった。

「ちゃんと、わたしの身体にあなたを残して」

ベッドのそばに立ち、優子さんはわたしの目を見つめて言う。わたしは心を決め、彼女をきつく抱きしめた。

わたしのとっては初めての体験だった。それは優子さんも同じだった。

彼女の衣服を脱がし、白い素肌を舐り、つつましやかな乳房をなぞりながら彼女の反応を確認する。緊張しているのか、優子さんの表情はかたくなで、それでも時々、甘い吐息を漏らす。

「いいんだね」

わたしの問いかけに、優子さんは無言でうなずいた。

けれど初体験のわたしは、どこへ挿入していいものかわからない。あっちこっちを先で突いてみても、うまく埋没させることができない。手でさぐれば、濡れた部分は確認できるが。それでも、いざとなるとうまく出来ない。

そんなことをくり返してはいたが、なんとか部分を突き止め一気に奥まで突き入れる。

「あ!」

痛みに耐える優子さん。

「大丈夫?」

わたしはたずねる。

「うん、大丈夫」

わたしは彼女の身体を気づかい、最初はゆっくりと抜き差しをした。だが、やがて興奮がたかぶってくると、感情のおもむくままに抽送してしまう。

「やん、やん、あん、やん」

優子さんは、短い言葉をくり返す。わたしは、彼女の内部の感触をあまり確かめることもできず、果ててしまったのであった。

朝になって、わたしは祖父母の家に戻った、そして、少し仮眠して帰り支度を整え、家路についた。

その後、わたしは猛勉強し、春にはなんとか目標の大学に合格した。そして春休み、わたしは祖父母の住む軽井沢に出かけた。

荷物をおろすと、すぐさま優子さんの別荘を訪ねたが留守だった。そのときは1泊もせずに東京へ戻り、夏の休みにもう一度、軽井沢を訪れた。けれど、やはり彼女の別荘に人の気配はなく、そのうえ表札もはずされていた。

あれから優子さんが、どこでどう暮らしているのかわからない。けれど、健康になって幸せに暮らしていて欲しい。そう願ってやまない。

【選者紹介】

長月タケオ(ながつきたけお)

1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。

1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。

おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)

『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)

『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)

『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)

『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)

ほか

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