街角ニュース ほぼ毎日更新!街角のニュースをお届け

2020.02.05

【大特集】シニアの健康大作戦「人生100時代の漢方健康法」の巻

不調を解決!金王坂クリニック西大條文一先生の「人生100時代の漢方健康法」③疲労

節分が過ぎ、次第に季節が春に向かっていく今日この頃、中高年の皆様の中には軽い疲労を覚えていらっしゃる方も少なくないでしょう。

思い返せば、昨年あたりから予想のつかない異常気象に悩まされ、慣れない「働き方改革」に順応し、おまけに今度は新型コロナウイルスです。気の休まる暇もありません。

そんなお疲れ紳士のために、今回も金王坂クリニックの西大條先生の素晴らしいアドバイスをご紹介します。

これからの生活のヒントにしてください!

「過労死」を招く長時間労働とストレス

「過労死」という言葉は、いまや英語辞典にも「KAROSHI」として掲載され、日本の労働状況を象徴するような言葉として世界に知られています。

一般的には、月に80時間の時間外労働を「過労死ライン」と呼んでいますが、こうした過度な長時間労働による循環器系疾患からの突然の死、あるいは精神のバランスを崩して自殺を選択する、というのが過労死の定義です。

大手広告代理店「電通」の過労死事件は、当時、大きな波紋を呼びましたが、労働時間の長さもさることながら、職場におけるストレス度も大きな要因なのです。

働き過ぎることで疲労が蓄積し、睡眠時間が減ると、当然、身体に大きな負担がかかり、とくに血圧が上がって血管への負荷は高くなります。それにより血管が痛み、心筋梗塞や脳梗塞などの突然死を招きます。

一方で、労働時間の長さは、自死のリスクと比例しているわけではないようです。ここには「ストレス濃度」が大きく関わっています。職場や生活環境におけるストレスの要素が強ければ強いほどダメージが大きくなるのは当然のこと。また、個々人の「ストレス対応能力」にも違いがあり、大きなストレスに耐えられる人もいれば、小さなストレスにもダメージを負ってしまう人もいます。

「疲労」は生体の防御シグナルだった

そうした環境や性質の個人差を踏まえたうえで、大事なことは、今、自分が置かれている労働環境や、今の体調=疲労度を客観的に把握できるかどうか、ということです。

長時間労働が続いている、ストレスを強く感じている、毎日のように疲れを感じる、という状況を把握したら、とにかくその状況を改善するための手段を講じましょう、ということです。

じつは「疲労」は、「疼痛」「発熱」とともに生体の危機回避のための3大アラームといわれており、重要な防御シグナルなのです。

たかが「疲労」では仕事を休めない、「疲労」は病気ではなく精神力の問題だ、「疲労」は怠け病だ、といった従来の認識は間違っているのです。

「疲労」という現象が、医学的に研究されるようになったのはまだ新しく、1990年代に入ってからです。近年、ようやく疲労のメカニズムが分かってきて、疲労とは「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」と定義されました。

つまり「不快感と休養を求める欲求」があると、これは「疲労」なのです。「休まないと生命の危機が来ますよ!」というアラームだったのです。

脳内の自律神経中枢系で「疲労感」は生まれている

では、疲労感はどこから来るのでしょうか?

疲れたと感じた時、それが運動によるものであっても、仕事であっても、疲労による変化が生じるのは脳内の自律神経を司っている分野なのです。

この分野は、心拍数を上げたり、呼吸を早くしたり、体温調節のために汗をかくといった調整機能や、精神面ではストレスやリラックスの状態をコントロールするなど、交感神経と 副交感神経のバランスを司っている分野です。

体の疲労も、心の疲労も、つまりは脳のこの分野のコントロール機能のバランスが崩れて、疲れが生じるわけです。

動物は、疲れたら休むのが生きるための基本です。なので、過労死はありません。

でも私たち人間は、ドーパミンや β-エンドルフィンといった興奮物質を出すことで、脳内に生じている疲労感をごまかすことができます。そしてこうした状態を繰り返すことによって、ある時、バランス回復の限界を超えてしまうことになるのです。

疲労感を一時的に打ち消す、あるいは疲労を我慢してやり過ごすことで命を落としてしまわないよう、自分の疲労について客観的に認識し、解消の方法を上手に取り入れ、疲労を蓄積しないことが大切です。

栄養ドリンクはあくまで「つらい今」を乗り切るために

疲れを感じたとき、ドラッグストアや薬局、場合によってはコンビニエンスストアに駆け込んで栄養ドリンクを購入される方は多いのではないでしょうか。効き目が早く、効果を実感しやすいので、すぐに何とかしたい、今この状況を乗り越えたい、という緊急時には頼りになります。しかし、原材料は実はカフェインと糖質が中心で、そこにビタミンやアミノ酸、生薬由来成分を加えて作られたものがほとんどです。残念ながら効果は一過性なものに過ぎず、持続性はありません。

また、ドリンク剤は高価な方が効きそうだと思って、1本数千円するようなドリンクを購入したことはないでしょうか?高価なドリンクにはイカリソウや高麗ニンジンなどの疲労回復効果に優れた生薬成分が入っているものもありますが、ローヤルゼリーなどサプリメント成分が入っているだけということも。価格や広告イメージだけでうっかり散財してしまわないよう注意したいものです。

本当の「元気」を手に入れるなら漢方を

毎日ハツラツと暮らし、何事にも前向きな気持ちで取り組めて、あと少しを頑張れるような状態こそ、本当に元気な体を手に入れたことになります。そのためには、栄養バランスの取れた食事と適度な運動に十分な睡眠と休息など、生活を見直すことが基本です。

しかし、本当に疲れてしまったときには、休む体力すら残っていないことがあります。例えば、疲れて眠りたいのになかなか寝付けなかったことはありませんか?眠ることにも体力が必要なので、その体力すら残っておらず不眠に陥ってしまうのです。

少しの休息やセルフケアだけでは限界があり、もっと根本的なアプローチが必要です。そこで漢方の出番となります。

「気」にアプローチして疲労を内側から改善する

漢方では「気」という概念をもとに疲労を捉えます。たとえば、「元気」「気力」「やる気」など全ての言葉には「気」という漢字が使われていることが分かりますね。

「気」は、漢方では体の三大構成要素「気血水」の一つで、疲労には「気」のはたらきが密接に関わっています。「気」とは体を動かすエネルギー、電力のようなものです。例えば、「気」を消耗しすぎたり、栄養の吸収が悪くなって「気」が不足したりすると人間はいわゆる「電池切れ」を起こして、心身の疲労となって様々な症状が現れます。

「気」には「血液」「水分」の流れを動かす役目もあります。「気持ち」「やる気」という言葉があるように、精神的な気力を高めるためにも欠かせない要素です。

そこで、漢方では「不足した気を補うこと」「気の巡りを良くすること」を目標として疲労回復を目指します。空気と同じように「気」は巡らず停滞していると具合が悪く、スムーズに巡っている状態が理想的です。このような作用は西洋薬ではカバーしづらい部分で、漢方薬の得意とするところです。

根本的な疲労対策に効く漢方薬

疲労回復には主に「気」を補充してスムーズに流れるようにする漢方薬を使います。ただし、ドリンク剤やビタミン剤と違って、誰にでも同じように効果が出るわけではないので、体質と症状によって漢方薬を使い分けることが大切です。あなたのタイプにあった漢方薬を見つけましょう。

 ・だるくて疲れやすい、体力がない方に:補中益気湯

  名前の通り、体の中の気を補うという処方で、胃腸を元気にして食欲を増すことで「気」を高める効果があります。体力がない方向けで、虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒に効果があります。すぐに座りたくなる、横になると元気になるという方に。

 ・疲れて貧血気味、栄養が十分とれない方に:十全大補湯

 術後や消耗性疾患の後の肉体疲労時などに用います。「気」も「血」も著しく不足した状態の回復を促します。体力虚弱で、病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血に効果があります。すぐにバテる、やる気がでない、食欲もないという方に。

 ・心身ともに疲労して眠れない症状がある方に:酸棗仁湯

体力が低下して、寝つきが悪い、眠りが浅いなどの不眠の症状がある場合に用います。「気」の高ぶりを鎮める作用があり、熟睡できるように働きかけます。体力は中程度にあり、寝て起きても疲れが取れていない、疲れて眠りたいのになかなか寝付けないという方に。

他にも、疲労に効果がある漢方薬には多くの種類があり、それぞれの体質や状態によって合わせて選ぶことが症状の改善につながります。

漢方で疲れにくい体づくりを目指そう

ご自分に合った漢方薬を見つけたら、少し気長にじっくりと取り組むことが大事です。一時的な疲労回復のためだけでなく、疲れにくい丈夫な体づくりを目指すためです。漢方を継続することで、少しの疲れやストレスには動じないよう体の軸を強くすることができます。

ただし、漢方薬もお薬ですので、正しく使わないと副作用が起きることもあります。とくに基礎疾患として心臓疾患や高血圧、甲状腺疾患などがある方は、慎重に選ぶことが大事。根本的な体質改善から疲労にアプローチするならば、漢方の専門家のアドバイスの下で服用しましょう。

疲労は放置していると慢性的な症状となり、最悪の場合は「うつ」などにつながることもあります。自分はまだ大丈夫!と過信して無理してしまうと、取り返しがつかない状態になってしまう可能性があります。だるさや体の倦怠感、眠れないなどの症状は体が出しているSOSのサインと考え、生活の見直しと早めの対処をおすすめします。

取材協力:

監修:金王坂クリニック院長 西大條 文一

執筆:ロイヤル漢方クラブ薬剤師 笹尾 真波

クリニック情報

住所 東京都渋谷区渋谷3-6-184矢木ビル2F

JR渋谷駅C1出口より徒歩3分

電話 03-5464-1234

https://www.konnozakaclinic.com/

来院が難しい方への漢方アドバイスはこちら

https://www.kamposupport.com/anshin1.0/sr/