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2019.11.02

【特集】昔の渋谷と今の渋谷

私が若い頃に会社の先輩に聞いた話なのですが、その昔、渋谷は「ブヤ」と呼ばれていたそうです。

今でこそ渋谷は「健全な若者の街」として若さと活気にあふれたエリアですが、当時は「ちょっと違った若者」が街を闊歩していました。

愚連隊です。

愚連隊は徒党を組んで渋谷の街を練り歩き、粋がった格好をしている若者に蹴りを入れたり、アベックを冷やかしたりしていたそうです。

つまり、渋谷はとても恐ろしい街だったのです。

そんなオゾマシイ愚連隊をたった一人でまとめていた方がいます。

安藤昇さんです。

すでに2015年にお亡くなりになりましたが、実は昔、私は先輩に連れられてこの安藤昇さんと、一緒にお食事をしたことがあります。

その当時、週刊大衆には、役者として活躍されていた安藤さんの連載があり、その関係で打ち合わせも兼ねた食事会に私は「社会勉強」ということで同行させてもらったのです。

あれは1軒目の店で食事を済ませて2軒目の店に向かう途中のことでした。

私は先輩に「露払い」を命じられて先輩と安藤さんの前を歩いておりました。

露払いといえば聞こえはいいですが、要は不逞の輩が襲ってきたときの「弾除け」です。

今考えれば、週刊大衆は、とんでもない編集部だったのです。

しばらく歩いていたところ突然、私は安藤さんからどやしつけられました。

「おい君、歩くたびにズボンの裾から靴下が見えてるぞ! なっちょらん!」

思わず、失禁しそうになってしまいましたが、当の私はなんのことか、さっぱりわかりません。

いったいスボンの裾から靴下が見えて何がいけないのでしょう。

すると安藤さんの隣にいた先輩が笑いながらこんなことを言うのです。

「お前(私)は知らんかもしれんが、そういうツンツルテンのズボンを履いている奴は金がないか、誰かのスーツを借りてきたと思われてしまうんだよ。そういう人間を連れて歩いていると、こっちも恥ずかしい思いをするということだ。お前も出世したかっらた身だしなみには気をつけろよ」

実際、安藤さんも先輩も当時の大人たちは上になればなるほど、身だしなみはすごくキッチリしていました。

そういえば、こんなこともありました。

また別の先輩の話ですが、靴下に穴が空いたからと百貨店に靴下を買いに行かされたときのことです。

なんでもいいかと思い、白い靴下を買ってきたら、またどやされたのです。

「お前、相手の格好をよく見てから色を選んでこい。普通は黒か茶色だろ。特に今日は茶系の靴を履いているから茶系を買ってこなきゃならんことぐらい小学生でもわかるだろ!」

たかが靴下でこの有様です。確かに白はまずかったですが、ことほど左様に当時の先輩たちは凄まじく身だしなみに気を使っていたのです。

後から聞いた話ですが、よく銀座のクラブに行ったりするとお土産と称して、むやみに靴下をもらったりするのですが、あれも店側がなんの考えもなく渡しているのではく、ちゃんと客の靴の色を見てセレクトしているのだそうです。

一度、先輩になぜそこまで身だしなみに気を使うのか、聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。

「身だしなみがキチンとしていない奴は犯罪に巻き込まれやすいからだ」

先輩曰く、身だしなみのきちんとしている人間は愚連隊やヤクザはもちろんのこと、警察にも目をつけられないそうです。逆に服装が乱れている人間は、同じく服装が乱れた人間に絡まれたり、警察にありもしない疑いをかけられたりするそうです。

時は変わって現在の渋谷。

先日のハロウインのニュース映像を見るとキチンと仮装をしている人たちと、ただだらしない普段着で参加している人たちと明確に分かれていました。

だいたい事件を起こしているのは後者のほうです。

ちなみに今年は9人だそうですが、そのうちの一人は若者でもなんでもないただの51歳のオッサンで、なんでもコスプレ女性のケツを触って逮捕されたとのこと。

おそらくこいつも仮装でもなんでもない、ただの服装の乱れたチンケなオッサンでしょう。

どんなに規制を厳しくしても女のケツ目当てでやって来るオッサンが後を絶たないようでは、ハロウインイベントもそう長くは続きそうもありません。

こうなったら極道の方々が極道のコスプレをして街の秩序を守るしかないかもしれません。

文責:編集長原田