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2019.10.11

【直前情報】台風の中の怪人たち

ずいぶんと昔の話にはなりますが、私が暮らしていた村では嵐になると俄然、活き活きとし始めるオジサンが2、3人いました。

そのうちの一人は私がよく知る人物で、何を隠そう私の父親でした。

この父が始末の悪いことに、大型の台風が来ると涎を垂らして喜んで、必ずと言っていいほど「川を見に行く」と言い出すのです。

私と母が必死に止めても、全く言うことを聞きません。ちょっと目を離すとすぐに川を見に行ってしまうので、危なくて仕方ないのです。

しかも、川を見ないと、どうにもこうにも落ち着かないらしく、夜中に一人で家を抜け出したりするのです。

そして、朝まで帰ってきません。

ある時なんぞは昼まで帰ってこないので、確実に死んだと思っていましたら、夕方近くなって泥だらけの格好で帰ってきました。

本人は頑として否定していましたが、おそらく川に飲まれて下流の方まで流されたに違いありません。

そんなこともあって、父が川を見に行きたがる時は、必ず私が同行することになりました。

そんなある日、私の村にとてつもない大きさの台風がやってきました。

当然ですが、父は川を見に行きたいと騒ぎます。

仕方がないので、私はレインコートを着用し、父と共に川にかかる橋のところまで様子を見に行きました。

外は猛烈な豪雨に加えて暴風域のド真ん中です。

眼下に流れる川も、濁流がまるで龍のようにうねり、今にも氾濫しそうです。ちょっとでも足を滑らせたら、間違いなく地獄行きです。

そもそも、こんな日にわざわざ危険な川の近くにやってくる阿呆などウチの親父ぐらいしかいないはずです。

ところが、そこには意外なほど多くの人が集結していました。

しかも、それぞれが腰が抜けるほどとんでもないことをしていたのです。

一人は、濁流の中に粗大ゴミを捨てていました

洗濯機、自転車、そこに加えて普通の生ゴミや缶ゴミなどをガンガン濁流に投げ込んでいます。ゴミたちは瞬時にして泥水にのまれ数秒で目に見えなくなるほど遠くに運ばれています。

また一人は全裸で雨風に当たっておりました

おそらく近所のどこかに根城を持つホームレスでしょう。

ここぞとばかりに体を洗っているのです。

そしてもう一人、奇妙な人がいました。

近所では見かけない人ですが、どうやら女性のようです。

その時は後ろ姿しか見ていませんでしたが、鬼気迫った雰囲気で下の濁流を覗き込んでいます。

胸元に何かを抱きかかえているようにも見えましたが、それが何かは激しい雨で良く見えません。

と、次の瞬間、女が何かを投げ捨てました。

落ちた瞬間にそれがなんであるかはっきりとわかりました。

犬の骸(むくろ)です。

ギャオス!

私は思わず腰を抜かしそうになってしまいました。

おそらく飼い主が亡くなったペットの処分に困って、わざわざここまで持ってきたのでしょう。

それにしても凄まじい光景です。

明日、これまでに経験がないような勢力の台風が日本列島を直撃しますが、これをお読みの皆さんは決して川の側には近寄らないでください。

川が危険なだけではなく、危ない人が集結している可能性もあります。

くれぐれもご用心ください。

文責:編集長原田