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2019.07.27

「捨てゼリフ」こそ日本の最高のコミュニティです

社会に「コンプライアンス」という言葉が蔓延してから、あの「古き良き日本の風習」がすっかり失われてしまったような気がします。

それは「捨てゼリフ」です。

今や、映画やドラマの中でもすっかり使われなくなってしまいました。

例えば、悪人が正義の味方にケッチョンケッチョンにやられて逃げる時に使う「覚えてやがれよ」や、よく下町のおばさんが使っていた「豆腐の角に頭ぶつけて死んじまいな」などです。

そして、このような「捨てゼリフ」には必ず決まった「返し言葉」がありました。

「覚えてやがれよ」なら「おととい来やがれ」か「味噌汁で顔を洗って出直してこい」でしたし、「豆腐の角に頭ぶつけて死んじまいな」なら「お前もうどんで首吊って死んじまえ」(※関西では「眼え噛んで死ね」か「ケツ噛んで死ね」)などです。

一見、ただの醜い言い争いにしか聞こえませんが、そこには致命的な「断絶」はありませんでした。

実は「捨てゼリフ」とは、両者ともにまた再会できる余地を多分に残していたりするのです。

その証拠に「覚えてやがれよ」と言った悪人は正義の味方に覚えておいてもらいたいという前向きな意思表示をしていますし、正義の味方も「味噌汁で顔を洗ってきたら会う」と暗に約束しているのです。

当然、豆腐の角で頭をぶつけてもなかなか死ねませんし、うどんで首吊りもしかりです。これなら両者ともに生きて再会することができます。

むしろ、捨てゼリフこそトラブルを解消する最善のコミュニティとかもしれません。

先日も馴染みの居酒屋で客とママが大喧嘩をして、客が「こんな店二度と来るか」と捨てゼリフを吐いて、ママがバイトの女の子に「塩を撒いておきな」と騒いでいましたが、2、3日経ったら塩を撒かれた客が店でママと楽しそうに談笑しておりました。

あの時、客が捨てゼリフを吐いていなければ、もっと陰湿な終焉を迎えたに違いありません。

そう考えると現代の日本人も、もっと「捨てゼリフ」を多用したほうが円滑な人間関係が構築できる可能性が高いと考えられます。

ただし、「捨てゼリフ」と「悪口」は似ているようでまるで違うものなので、使い方については注意が必要です。

そもそも「捨てゼリフ」とは歌舞伎で使われていた言葉で、役者が舞台で退出する際に発する「またいつか」の代わりに使われていたアドリブです。

先にも申しました通り、捨てゼリフは必ず「また会える」とことを前提にしていますので、二度と会えないような「人の欠点を罵るような悪口」は絶対に避けなければならないのです。

先ほどの客の捨てゼリフを例にとれば「こんな店」と言っているわけで、ママそのものの悪口は直接的には言っておりませんし、料理についての苦言も吐いていません。

その辺のところは十分に注意してください。

ちなみに、ぼったくられたりなどをされて、本当に二度と行かない店に遭遇した場合は捨てゼリフなど不要です。店先にクソでもしてやってください。

ただし、クソの最中に警察や店の人に捕まっても当サイトは一切の責任は負いませんので悪しからず。

文責:編集長原田