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2019.05.13

ホームレスが教えてくれた食中毒回避の虎の巻

5月も中旬になってくると、雨が降る日が多くなってきます。そうです。日本列島に雨期が近づいてきているのです。

この時期に細心の注意を払わなければならないのが食中毒です。かくいう私もこれまでの人生で2回、食中毒になりました。

1回目は小学生の時に墓場に供えてあった饅頭を失敬してのたうちまわり、2回目は大学生の時に学生寮の冷蔵庫にあった腐った豆腐を盗み食いして病院に担ぎ込まれたのです。

そもそも、私は若い頃から「拾い食い」「盗み食い」が悪いことだとは思っていませんでした。事実、私の田舎ではそこら中に食べ物が落ちていたのです。ゆえに学校から家に帰るまでに様々なものを拾い食いして、夕飯の前にはすっかり腹がいっぱいになっていたものです。

当然、私の友人たちも拾い食いの常習者でした。今考えれば、なんちゅう街に暮らしていたのかと驚くばかりですが、これも地域性と時代性でしょう。当時は匂いを嗅いで危険な匂いがしなければなんでも口に放り込み、友人たちと分け合っていました。私の街では大人も子供も賞味期限など気休めにしか思っていなかったのです。

そんなある日、私の友人の一人が家出をしたのです。行き先は東京でした。本人曰く、腕試しに行くと言っていました。今思えば浅はかなことですが、親の反対を押し切って住み込みでボクシングジムに入会しようと思っていたようです。当然、どこの馬のクソともわからんような薄汚れた未成年の家出少年を受け入れてくれるジムはありませんでした。

そうかといって家に帰るわけにもいかず、おまけに金もありません。いつしか少年はホームレスの仲間入りをしていたのです。かくして私の友人はおよそ3ヶ月の間、ベテランホームレスの指導のもと、ゴミあさりをしながら糊口をしのいておりました。そして元々が拾い食いや盗み食いの常習者だった少年は大東京でも、たちまちのうちにプロのホームレスたちが目を見張るような活躍を見せるようになっていったのです。

しかし、そんなある日、事件は起こりました。

いつものように指導官とともにゴミ捨て場を漁っていたところ、未開封のシュークリームを発見したのです。彼は大いに喜び、すかさずその獲物に食らいつきました。

ところが、指導官がそれを奪い取ったのです。

「何すんだ!」

久々の極上デザートを前に思わず少年は声を荒げます。

指導官も負けていません。歯をむき出しながらこんなことを言いました。

「お前にはまだ早い!」

その言葉を聞いて逆上した少年は「ホームレスに上も下もあるか!」と叫び、こともあろうに指導官にアッパーカットを食らわせたらしいのです。もんどり打つ指導官。それでも彼はシュークリームを離そうとしません。洋菓子ひとつでまるで日清戦争の英雄・木口公平が死んでもラッパを口から離さなかった逸話を地でいくような根性です。

その後、上になり下になりでもつれ合い、ようやく少年はシュークリームを手に入れて貪り食ったのです。

数時間後、少年は救急車で病院に運ばれました。

原因は急性食中毒でした。

後から聞いた話ですが、腐った洋菓子はホームレス歴が短い少年の胃腸には毒物以外の何物でもなかったようです。

つまり、指導官が言った「お前にはまだ早い!」という言葉は、年功序列のことを言っていたわけではなく、少年の胃袋を気遣ってのことだったわけです。

皆さんもこの時期は洋菓子には十分に注意しましょう。

回想と文責:編集長原田