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2019.04.16

【シニアと読書】10連休にオススメの本『居残り方治、憂き世笛』

【一冊で幾多の旨味を味わえる幕の内弁当のような時代小説】

『居残り方治、憂き世笛』

【襲いくる面妖な敵から可憐な徒花を守り抜け】

終戦後の昭和、平成と長きにわたって続いた安寧の時代。

これから始まる令和時代も引き続きこの平和が続くことを祈りつつも、やれ“働き方改革”や“消費増税”だの、はたまた微妙な国際情勢だの、とても安穏としてはいられなさそうな気配が漂う昨今であります。

ですがこんな不穏な時代だからこそ、怖気付く若者や女子供を尻目に、気概のあるシニアのみなさんの血は熱く燃えたぎっているはず!

そんな気がしてなりません。

身を粉にして働き、憂き世の酸いも甘いも知り尽くし、あとは穏やかな余生を送るばかり。そんな風に思ってはいても、身を捧げるべき何かが見つかるならば「命が消える前にもう一花!」と思っている御仁も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

そう、そんな死に場所、いや、闘いの場を探しているシニア世代の男たちにこそ読んでほしい時代小説があります。

なんだ時代小説か、そんなの退屈で暇なジジイの読むものだ、なんて思ったら大間違いです。

退屈で暇なジジイならば、この息もつかせぬ矢継ぎ早な刺客たちの攻撃との命のやり取りに目を回し、廓の女たちの生々しい息遣いの艶かしさに心臓発作を起こしてしまうに違いありません。

なんせ著者の鵜狩三善さんは、ネットの小説投稿サイトで脚光を浴び、この作品で出版デビューしたという超絶フレッシュな作家さん。

ですから、子犬系キャラの男装の美少女ヒロインも出てくるし、まるでアニメのように世にも奇妙な特殊能力を持ったエンタメ色の強い敵が、これでもか!とばかりに主人公に襲いかかってくるのです。

主人公は、とある藩の遊郭に住み込んでいる〈笛鳴らしの方治〉。

笛吹きの名手で、女たちに読み書きを教え慕われている居残り浪人、というのは表向きの顔で、実態は、その忍び仕込みの剣の腕を買われて廓の楼主に雇われた殺しも厭わぬ用心棒です。あるとき、他藩の武士に襲われていた男装の少女・菖蒲を救ったことから物語は急展開!

藩を牛耳る大悪党たちを敵に回し、健気にも父の仇討ちをしようとしていた菖蒲の護衛を任された方治に、王子椿組の面妖な刺客が次々に襲いかかります。

その後の物語は読んでのお楽しみですが、するっと読めるのにグッとくるポイントはツボを心得ていて、臨場感のある剣戟のシーンはスリルに満ちています。

燦く白刃を目で追いつつページをめくるうちに、あたかも自分自身が敵とカッコよく戦って、健気なヒロインを守っているような気分にさえなれるでしょう。

そう、『居残り方治、憂き世笛』は、カビ臭い歴史小説家が筆を舐め舐め書いた小難しい時代小説ではないのです。

するすると読み進められる語り口と、現代的でどこか感情移入しやすいキャラクター設定、個々に特殊能力を駆使して襲いかかるクセの強い悪党の面々。

それに加え、時代小説ならではの廓の人情譚や剣戟の魅力がそこかしこに散りばめられています。

ページをめくるたびにドキドキしたりホロっとしたり、健気な女の純情にキュンとしたり……。まるで豪華なおかずがたっぷり入った幕の内弁当を楽しんでいるような気分で読み進められること請け合いです。

新時代を前に、再び若い頃のような正義に湧く血や、燃えるような強靭なパワーを手に入れたい方は一読の価値アリ!

読み終わる頃には、背筋がシャキッと伸びて、20歳くらい若返ったかのようなエネルギッシュな情熱が蘇ってくることでしょう。

【今回ご紹介した書籍はこちら】

『居残り方治、憂き世笛』

著者/鵜狩三善(うかり みつよし)

発行:アルファポリス 発売元:星雲社

装丁・イラスト:永井秀樹

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