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2018.12.30

【年末風物詩】メルカリの功罪

毎年、この時期になると「ある風物詩」を拝むことができます。

それはホームレスの方々のファッションが一年で一番ゴージャスになることです。

理由は簡単です。

世の中の人たちが大掃除でたくさんの衣料品を捨てるからです。

それをホームレスの方々が拾って着用するのですが、彼らは誰よりも「重ね着」が上手いので、街はちょっとしたオシャレ紳士で溢れかえります。こうなるともう普通の人なのか宿無しなのか、到底区別はつきません。

私の住処の近くの公園にも「男爵」と呼ばれるホームレスがいらっしゃるのですが、この時期になるとそれはそれはオシャレに変身します。

男爵はとにかく品がいいのです。どこから拾ってくるのかはわかりませんが、チェックのズボンに紺のブレザー、シックなマフラーに加えて茶系のコートまで羽織っています。もちろん足には革靴。そして、まだ真新しいリュックを背負っています。

そうかと思えば、別の日にはダメージジーンズに茶系のセーター、その下にはきちんと襟の付いたワイシャツを着込み、米軍のパイロットが着るようなジャンパーを羽織りつつ、プーマのスニーカーでキメています。

シケモクさえ吸っていなければ男爵は雑誌の『LEON』に出ていてもおかしくなような雰囲気を醸し出しているのです。しかも血税も納めていない本物のちょいワルですから、付け焼き刃のちょいワルとはオーラの質が違います。

そういえば、快活60還暦ホームレス記者の清水さんもホームレスになってから、オシャレになったような気がします。自分が管理人をしているマンションのゴミ捨て場でブランド物のリュックを拾ったと大喜びしていたのも記憶に新しいところですが、もしかしたらホームレス同士で様々なマンションに管理人として入り込み、拾った服を交換しあっているのかもしれません。そうだとしたら、恐ろしいシンジケートです。

横道に逸れましたが話を男爵に戻しましょう。ちょうど昨日、男爵を見かけました。ところが男爵ときたら、ちっともオシャレじゃないです。誰がどう見ても元祖・ホームレスにしか見えません。タマキンがこぼれ落ちそうなボロボロのズボンを履き、穴の開いた靴を履き、腐りかけたジャンパーを着て、挙げ句の果てに肩からダンボールの切れ端をまるで甲冑のように羽織っているではありませんか。

無駄に頭のてっぺんが禿げているので落ち武者にしか見えません。

いったい、男爵にナニがあったというのでしょう。私以上に男爵のことをよく知るウチのマンションの管理人さんとその件について話をしたところ、薄ぼんやりその理由が判明しました。

なんと、一番の理由は「メルカリ」だったのです。管理人さん曰く、最近ではシニア向けに「メルカリ」の利用方法を教える講習会も開催されているそうで、ウチのマンションの住人も多数、利用しているそうです。

今や、我々シニア世代にとって、いらない衣類は捨てる時代ではなく「売る時代」になっていたのです。

事実、昨今はメルカリを利用するシニアは急増しているそうです。一番の理由は「終活」とのことですが、こうなると到底、男爵のところにもオシャレ服は回ってきません。せっかくのシンジケートもお手上げです。

よーく周囲を見渡すと、今年は心なしか街のホームレスの方々もあまりオシャレではないような気もします。

なんということでしょう。世の中が便利になる反面、意外なところで弊害が出ていました。

そういえば、現在は昔よりも世の中にタダで利用できるものが少なくなってきたように感じます。急にクソをしたくなっても都心のコンビニでは何も買わなければ便所すら貸してくれないところも増えてきましたし、今やほとんどの駅の便所は切符を買わなければ入れない改札の中です。かといって公園の便所には大抵、紙がありません。未開封の食い物が捨ててあるゴミ箱もほぼ、街から撤去されました。現代はまさにホームレス受難の時代と言えましょう。

来年は新しい元号になりますが、ますますホームレスにとって厳しい時代になることが予想されます。快活60還暦ホームレス記者の清水さんも、のんきなことを言っていないで、早く居所を見つけて欲しいものです。

文責:編集長原田