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2018.09.04

【快活60超人図鑑】快活60史上最強の映画監督

暑かった夏の日差しも次第に和らぎ、街には少しづつ秋の匂いが漂ってまいりました。

男も女もギャルも人妻も風俗嬢も老人も、ちょっとおセンチになる季節がやってきます。

馬の糞以下の外道人生驀進中の私でさえ、物思いに耽る今日この頃です。秋は人の心を豊かにします。芸術の秋と言われる所以です。

そんな芸術の秋に真夏の日差しよりも眩しく、暑苦しい芸術的映画が公開されるという情報をキャッチしました。この情報を提供してくれたのは当サイトの「超人」としてもお馴染みのミック入来氏です。紹介者からして何やら、ただならぬ匂いがプンプンします。

まずは気になる映画のタイトルからご紹介しましょう。

『クライングフリーセックス』

サブタイトルに『Unchain my body!』という英語が並んでいます。日本語に訳すと「私の体を解き放って!」という意味になります。これは『Unchain my heart』(私の心を解き放って!)という歌のもじりですかね。

このタイトルだけ見ると精神的にも肉体的にも開放された男女が世間を気にせず純粋に愛し合う「大人の作品」のように思えます。

しかし、実態はまるで違うのです。聡明な読者の皆様なら、すでにタイトルの中に気になるワードを見つけていることでしょう。

「クライング」

そうです。泣いているのです。

なぜ泣いているのでしょう?

その理由がなんともオゾマシイのです。

実は主人公の男女が「膣痙攣」で泣いているのです。

そうなると『Unchain my body!』も違った意味になってきます。確かに手枷・足枷はついていませんが「膣枷」が付いているということになります。

それを踏まえて、ここで作品のダイジェストをご紹介しましょう。

〈ある秘密組織に潜入中のコブラとナオミ。作戦遂行の朝につい盛り上がって性交し、抜けなくなってしまう。つながったまま敵と戦う二人。果たして無事切り抜けられるのか? 映画史にかつて描かれた事のない事態がジェットコースターのように展開する怪作。『STOP!』(キム・キドク監督)での衝撃の演技が光る合アレン、総合格闘家のマイケル・ファンコニの二人が正に体当たりの演技を見せている〉宣伝用パンフレットより一部抜粋。

『クライングフリーセックス予告動画』

いったい、どこの世界に膣痙攣とスパイを組み合わせた映画があったでしょうか。これにはミッション:インポッシブルも真っ青です。トムも脱糞以外になすすべはありません。

しかしながら、この壮大でいて珍妙な発想は誰がどうやって思いついたものなのでしょう。

そこで『クライングフリーセックス』の製作者・岩崎友彦監督にお話を聞いてまいりました。

監督、さっそくですが、この映画の根底に流れるテーマはなんなんでしょう?

「愛ですね」

なんと! 薄々感づいてはいましたが、そこまでハッキリ言われるとは思っていませんでした。

確かに近年、我が祖国では「お一人様」なる文化が横行し、「男女同伴」でコトに当たる機会が少なくなってきました。この現象は男女の愛が足りないという動かぬ証拠です。そこに対しての警鐘というコトでよろしいでしょうか?

「まぁ、そうですね」

深い、深すぎます。しかも、この映画、ただの「男女同伴」でありません。理由はともあれ、この映画の主人公は「絶対に離れられない男女」です。加えて「死」を背中に背負ったミッション。お互いに「心からの信頼関係」がないと、少しのヘマが命取りにもなります。すなわちそれは昨今、希薄になりつつある夫婦関係に対する警鐘と取れますが、いかがですか?

「まぁ、そうとも言えます」

しかもですよ。私が調査したところによると、ペニスに強烈な圧迫がかかった場合、短時間で壊死する可能性もあります。速やかにミッションを完結させないと男のチンポが腐り落ちる危険もあるわけです。早く敵を倒して病院に行かないと、男としては再起不能。戦いに勝っても人生の勝負に負けることになりますが、そこに映画のハラハラ感を演出しているわけですね?

「そういう見方もできますね」

す、素晴らしい。この映画には何重にも人生の大切なテーマが暗示されているわけです。しかも、上映時間はわずか15分。私はロードショウでこれほどの短編映画を見たことがありません。チンコが壊死するギリギリのタイムリミットです。監督、ところで監督のその天才的な発想はどこからくるものなんでしょうか? まずは監督が映画作りを始めたキッカケなどを教えてください。

「最初に映画を作ったのは高校時代でした」

監督が現在52歳とすると高校生は16歳か17歳ですから、引き算すると35年から6年前になりますね。どんな映画を作ったんですか?

「芸術家が地球をキャンパスにする映画ですね」

おおっ! 高校生らしい夢とロマンが溢れる壮大なテーマですね。どういう内容なんですか?

「芸術家が核ミサイル施設を乗っ取って打ちまくるんです。最後には地球がジャガイモみたいにボコボコになる映画ですね」

えっ…! 地球をジャガイモに…? ちょっと高校生らしくないですね。

「棒の先にロケットをつけて飛ばして、後でシネカリと言ってフィルムに針で傷をつけて炎を作ってやったんです。消し方が足りず、たまに棒も見えてしまいましたから、スケール感はそれほどでもありませんね。当時は8ミリフィルムでしたが、フイルム代が千円、現像費が二千円でした」

その辺は高校生らしいですね。でも、なんでそんな映画を作ったんですか?

「1999年に世界が終わると本気で思っていました。それが背景にありましたね。あと、ノストラダムスの大予言にも影響を受けてますね。どうせ地球は終わるんだという思いがありました。なにしろ当時流行していた『北斗の拳』も設定が199×年でしたから」

それで刹那的になって、そのような映画をこしらえたんですね。確かに当時は世紀末思想が世の中に蔓延していましたよね。そんな岩崎少年はその後、どんな映画青年に成長するんでしょう?

「大学に進学して映画研究会に入部しました」

どこの大学に進学したんですか?

「早稲田です」

早稲田の映画研究会といえば名門じゃないですか! そこでどんな映画を作ったんですか?

「正義の戦士 ジャスティスマンです」

おおっ! 今度はヒーローモノですか! やはり大学生にもなると「正義感」が強くなりますからね。どんな内容なんですか?

「貧しいお爺さんが空腹に耐えかねて店先からパンを盗むんですが、そこにジャスティスマンが現れてお爺さんをボコボコにするんです。自称、レ・ミゼラブルを題材にしています」

えっ…。正義の味方が弱りきった爺さんをボコボコにするんですか。なんだか身も蓋もないですね。確かに正義とは何かを考えさせられる作品ではありますが…。

「自分で書いた漫画をつなぎ合わせて動画を作りました。あの時は先輩から8ミリフィルムを渡されて1分間ほどの映画を作って来いと言われたんです。当時の私は伊丹十三さんが好きで、そういう感じの映画を作っているつもりでした」

『正義の戦士 ジャスティスマン本編』

これが当時、伊丹十三監督に憧れていた時代に作った映画なんですね。ところでジャスティスマンの発想はどこから出てきたんですか?

「高校時代にノートに書いていた漫画です」

友人どうしで見せ合った漫画の中にヒントがあったわけですね。

学生時代といえば、恋に多感な時期と思われます。友達は友達でも、女友達が関係しているような思い出深い作品なんかもあるんでしょうか?

「当時、お付き合いしていた女性に出演してもらった作品があります」

いいですね。自分の彼女を自分の映画作品に出演させるなんて、最高にロマンチックじゃないですか!

「いえ、少し違います。出演してもらってからお付き合いが始まりました」

えっ…。そうなると狙った女を落とすために映画を利用したとも取られかねませんが、それはいったいどういう映画なんですか? やはりラブロマンスか何かですよね。

「三びきのこぶたです」

えっ! 好きな女性に豚役をお願いしたんですか? どんな内容ですか?

「忘れてしましました。三人それぞれに頑張ってる映画です。みんな幸せになるので安心してくだい。当時は角川映画に影響されてポップな映画も作っていたんです」

三びきのこぶたがポップな映画ですか? 想像もつきませんし安心もできません。

もちろん卒業後の進路は映画関係にしたんですよね。

「いいえ、普通の会社に就職しました。でもつまらなくなって2年くらいで辞めましたね。同時期に付き合っていた女性が京都に帰ると言いだしたのでついて行きました。今考えてみると、なぜそんなことをしたのかよくわからないですね」

その女性は例の豚ですか?

「違います。別の女性ですね」

えっ…。そうですか。まあ、恋とはそういうものですよね。そういった経験も映画につながっているんですね。

京都といえば、太秦など映画が盛んな街ですよね。ようやくここから映画監督人生が始まったわけですね?

「それが違うんです。広告会社に入りました。とはいえ、仕事のほとんどがポストや新聞に入れる折り込みチラシの制作でしたね。一応、コピーライターでした。“牛乳安いよ”っていうようなことを書いてました」

映画からは離れてますが、それでもだんだんクリエイティブな道に近づいてきましたね。一時はどうなるかと思いましたが、安心しました。

「ええ。ただし、校正が苦手で、よく値段を一桁間違えたりしていましたね。差額分を弁償したりしていました」

えっ! そうだったんですか…。それは大変なご苦労をなさいましたね。

あのぅ、映画監督への道はいつ開けるんでしょうか?

「TBSの深夜番組『平成名物TV』で『イカ天』の後釜として『エビ天』というコーナーが始まったんです。毎回10人ほどのアマチュア監督が自主制作した3分程度の作品を公開するものなんですが、僕もその番組に声をかけられて『ジャスティスマン』を出品したんです」

あのジャスティスマンをですか!

「そうです。審査員によって評価が金、銀、銅に分かれるんですが、そのうち金を取って“金監督”になることが、当時のアマチュア監督からすると最高の栄誉だったんです」

ジャスティスマンは金を獲れましたか?

いえ、獲れませんでした。ずっと銅続きだったんで、こりゃいかんなと思い、気合を入れて『トモヲ・ヨーコ 愛の往復書簡』という作品を出品しましたら、それが銀になったんです」

すごいじゃないですか! タイトルからして文学的な匂いがしますが、どんな作品だったんですか?

「トモヲが棒の先にビデオカメラをつけて(今でいう自撮り)愛のメッセージをビデオレターに託してヨーコに送るんです」

ほうほう。いいですね。今でこそ携帯でなんでもできますが、当時のビデオレターは特別感があり、洒落たロマンがあります。ヨーコさんはそれに対してどんな感動的な返事を送ったんですか?

「ヨーコの顔は見えないんですが、彼のビデオレターを見た後、VHSテープをぐしゃぐしゃボコボコにするんです。その一部始終を映した動画をトモヲに送るんですよ」

なんでそんな映画作ったんですか! 怖いです。ホラーです。それを見たトモオは確実に首を吊りますよ。愛の書簡じゃなくて恐怖新聞じゃないですか! なぜ、それが「銀」なのか不思議です。

『トモヲ・ヨーコ 愛の往復書簡』本編

ところで、監督は「金」も獲ったんですか?

「はい。『忠実な犬』という作品で金をいただきました」

すごく嫌な予感がするんですけど、どんな映画なんですか?

「犬の目線で撮影しました。いわゆるゴープロですね。飼い主との交流を中心に犬が死んでしまうまでを描きました。最後はほろっときますよ」

『忠実な犬』本編

それを聞いて安心しました。ちゃんとやれば『愛の往復書簡』も金を獲れたんじゃないですか?

「愛の往復書簡も切ない感じになるはずだったんですが」

本当ですか? ひどい結末にしか思えませんが。

「僕の作品は基本はコミカルですが、どこかにペーソスがあるようにしたいと思ってます」

今回の『クライングフリーセックス』もですか?

「フィジカルな接触。愛なんて言葉は一言もない。そこで逆説的な愛を問いたいですね」

そうですか。ところで、このマッチョな俳優さんはどこから連れてきたんですか?

「彼女が連れてきたんです(監督:主演女優の合アレンさんを指差す)」

えっ! 俳優のキャスティングを女優さんが決めたんですか! 珍しいパターンですね。

いったい、どういう決め方をしたのか、ヒロインの合アレンさんにも聞いてみましょう。

アレンさん、いったいどういう基準で主演俳優さんを選ばれたんですか?

「第一条件は私を担いで走れることですね」

あ、なるほど、セックスしたままアクションをしなければなりませんからね。

それだけですか。

「もちろん、それだけではありませんが、ソレがメインです」

ところで彼はお国はどちらなんです?

「イタリア系アメリカ人です」

どこでどうやってマッチョなイタリア系のアメリカ人を探してきたかはわかりませんが、アレンさんご自身はもともと何をやられていたんですか?

「普通に働いてました。今はコンサルタントの仕事をしてます」

えっ! 普通の人なんですか? 普通の人がどういう経緯で映画に出ることになったんですか?

「もともと人前に出るのがダメで、自己啓発的なスクールに通っていたら、そこの先生が堀井彩監督の映画のオーディションがあるから出てみたらって進めてくれたんです。そしたらたまたま受かりました」

そうだったんですね? それにしても、人前に出るのがダメな方が人前でセックスしながらアクションする映画に出るなんて変わりすぎです。芸歴は何年なんですか?

「5年です」

監督とはどこで知り合ったんですか?

「オーディションで受かった堀井監督の『スターチャイルド』という映画です。そこで共演したんです」

共演って、岩崎監督が役者として出ていたんですか?

「はい。私は監督の奥さん役として出演しました」

人生とは不思議なものです。それがご縁で岩崎監督の映画にも出演することになったんですね。

「はい。実は岩崎監督の作品に出演するのはこの映画が初めてではないんです。『手のひらを太陽に』という作品にも出演させていただいてます」

そうだったんですか。今回の『クライングフリーセックス』で一番大変だったシーンはどこですか?

「やっぱり、股間をくっつけたまま離れないで演技するのが難しかったんです。特に敵を欺くために騎乗位のまま180度振り向くシーンは大変でしたね

て、敵を欺くために騎乗位中に回転したんですか? 欺いたのはいいとして、そんなことをしたら大事な部分が丸見えになってしまうじゃないですか!

「その部分は敵の兵士で上手に隠れるように撮影してもらいました。安心してください」

まさにアキラ100%も真っ青な離れ業ですね。そんなところもこの映画の見所と言えましょう。

最後に紹介者であるミック入来氏と監督の関係についてお尋ねしましょうか。

ミックさん、監督とはどこで知り合ったんですか?

「人を介して紹介してもらいました。私も監督にプロモーション映像を作ってもらったんです」

そのプロモーション映像がコレです。

『ミック入来 / NINJA』

人と人との出会いとは不思議なものです。

映画を通じていろんな人脈が広がるんですね。

そんな中、岩崎監督のご友人の方々から『クライングフリーセックス』を見た感想がパンフに添えられていたので、ここでご紹介させていただきます。

まずは『カメラを止めるな!』が大ヒットを記録した映画監督・上田慎一郎様からのコメントです。

「なんてくだらないんだ!と多幸感でいっぱいになった。こんなにもくだらないバカ映画(褒めている!)を中二ではなく、50を過ぎたおっさんが真顔で撮っている事を想像するだけで暖かい涙が止まらない。岩崎さん! 最高かよ!」

その他にもたくさんの激励のお言葉が寄せらていますがもうひとつだけ。

「バカバカしい、くだらない! お腹がよじれて、涙が出た。見るだけで明日への意欲が湧いてきて、なぜか元気になりました。日本女性は、性的なことを口にするのはタブーとされる傾向にあります。その為、性的なアプローチを受けた時「セックスしたい・したくない」という意思表示ができず、意に染まない関係を築いてしまうことも多い。その点、この映画のヒロイン。ナオミは素晴らしい。セックスしたい時は男のベッドに行くし、ちゃんと相手の合意も取る。アグレッシブに、パンツ一丁&網タイツで駆け抜ける勇気。日本女性よ。人生もセックスも、自分の意思で好きにしたらいいよ」(性的意思決定武者修行の会・もりこ様)

普通、男女で映画を見に行った場合、館内が暗いことをいいことにハラハラシーンの時、女性が男性の腕にしがみつく光景がよく見受けられます。おそらく、この映画の場合は女性が握る場所がタマキンになるに違いありません。男女で見に行く場合には、細心の注意が必要でしょう。

ともあれ、わずか15分のこの映画は、見る人の人生を変え、シニアにとっては活力を与えてくれるに違いありません。上映期間もわずか1週間。親の死に目に会えずとも、行かねば後悔することになりそうです。

文責:編集長 原田

【上映情報】

・上映期間 2018年9月8日(土曜日)~9月14日(金曜日)

・上映時間 昼/12:20~ 夜/18:00~

・上映場所 新宿K’s cinema(03-3352-2471)

www.ks-cinema.com

・鑑賞料金 500円均一

【キャスト&スタッフ】

監督/脚本/編集:岩崎友彦。撮影監督:野火明。アクション監督:熊王涼。VFX:内田剛史。音楽:hoto-D。

【出演】

合アレン、マイケル・ファンコニ、高木公佑、鈴木佳恵、ブエノ木村圭作、真砂豪、ぬら田CAGE

合アレンホームページ
http://www.aa-film.com