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2018.08.10

【還暦放浪記】ホームレス「真夏の読書」編

私はほとんど毎日のように、暇さえあれば書店に足を運ぶ。それはライターという仕事柄、今どんな本が売れているのかをチェックしたいという思いや、一読者として面白い本を探したいという気持ちがあるからだ。

そしてホームレスになった現在、書店ほど時間を潰すのに最適なところはないからでもある。何しろ何時間いても、本を買わなくても怒られることはないのだ。こんないい場所は他にはないだろう。

そんな私が先日、1冊の本を見つけた。

『真実 梶芽衣子』というタイトルの女優・梶芽衣子の自伝である。

快活60の読者の皆さんには彼女の説明は不要だろう。『野良猫ロック』『女囚さそり』『修羅雪姫』…、元祖クールビューティとはまさに彼女のことだ。当時、高校生だった私は、世の中には、こんなキレイな女性がいるのかと思ったものだった。

『キル・ビル』で知られる映画監督タランティーノが梶の熱狂的なファンで、梶へのオマージュから生まれた作品が『キル・ビル』だったのはあまりにも有名な話である。

そんな梶の半生が綴られたこの本のことを知った瞬間、私は愕然とした。なぜなら、これこそ私が書きたかった本だったから。

事実、何年も前に、私はいくつもの出版社に「梶芽衣子の本を出しませんか」と企画を売り込んでいたからだ。

気を取り直して読んでみた。

やっぱり面白い。知らなかったエピソードも満載だった。

中でもビックリしたのは、五社英雄監督の「鬼龍院花子の生涯」が、元々は梶が持ち込んだ企画であり、本人が主人公・松恵の役をやることを熱望していたということだ。

もちろん、皆さんよくご存じのように、この映画では実際には若くして亡くなった夏目雅子が松恵を演じ、「なめたらあかんぜよ」というセリフとともに一躍、人気女優になった。たしかに夏目の松恵は素晴らしかったが、しかし、もし、あの役を梶がやっていたら、はたしてどんな松恵を演じたのか、見てみたかったと思うのは私だけではないはずだ。

後年になって、梶は「寺内貫太郎一家」や「鬼平犯科帳」などテレビドラマでも長く活躍、日本を代表する女優の1人といってもいいだろう。

しかし、その活躍のわりには梶に対する評価は決して高くない。そのことが私には何とも悔しいのである。

記事/快活60還暦ホームレス記者:清水一利