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2018.06.05

【街角ハプニング】タクシーでの惨事

「運転手さん、目的地まであと、どれぐらいかね。急にモヨオシテきて辛抱たまらなくなってきたんだよ」

「そいつはいけませんな。旦那、大のほうですか? 小のほうですか?」

「大も小も両方だ。おそらく、小をした瞬間にケツの穴が緩んで、大もヒリ出てくるにちがいない。運転手さん、早くっ! 早くっ!」

タクシーの中でこんな地獄絵巻が繰り広げられたのは、つい一昨日の夜のことでした。

知人と新宿の安居酒屋で飲んだ後、勢いで六本木にある知人の馴染みの店にタクシーで向かう途中、知人が急に股間を押さえて苦しみだしたのです。

「うお~~~っ! うおおおおっ! 出るっ! 出るっ! ギヤオエーー」

まるで漫画のようにのたうちまわる知人。もはや私には、なすスベはありません。

「スッスッ、ハー。スッスッ、ハー」

ついに知人はラマーズ法の呼吸まで始めました。小も大も生まれる寸前です。

よもや大惨事は避けられないと思ったその刹那。

「旦那ぁ、ここで思う存分やってくんなまし」

運転手さんが、車を止めて振り返ったのです。

まさか、タクシーの中で糞尿を撒き散らすことを許諾したのかと思いきや、窓の外には煌々と公衆便所の明かりが!

自動扉が開くや、ダービー馬のように駆け出した知人は、カチャカチャとベルトのズボンを緩めながら、半ケツを出して便所の中に消えてゆきます。

10分後、汗だくになった知人が、まるでスポーツでも終えた後のような清々しい表情で戻ってまいりました。

「いやあ、失敬、失敬、一時はどうなるかと思ったよ。運転手さん、ありがとう。よくこんなところに便所があることを知っていたねぇ」

「ええ、長いことこの仕事をやってますんで、都内の便所はあらかた知ってまさア。まあ、時たま、便所がない魔の区間もあるんですが、そんな時でも人目につかずに野グソのひとつや二つ垂れられる路地裏やビルの隙間がありますんで、緊急時にはそこに案内してるんでさア」

知らない人に隙間でクソを垂れられるビルのオーナーからすればたまったものではありませんが、運転手氏によると、都内で野グソができる場所は実に100か所以上もあると自慢しながらいいます。

しかしながら、タクシーの運転手さんが、みんなクソや小便をできる場所をこれほど熟知しているわけではないはずです。

どうしてこんなにクソができる場所をたくさん知っているのかを聞いたところ、意外な答えが返ってきました。

「私もそうですけどね。年を取るとほら、小便が近くなるでしょ。酒なんか飲んでるとなおさらですよ。しかも小便だけならまだしも、中年になると、お腹を壊しやすいから、飲んだ後、すぐ下痢になる方もいらっしゃる。

ひと昔前は後部座席をゲロで汚されることが多かったんですが、今はクソや小便で汚されることが増えましてね。怖いのは、ゲロは吐いた瞬間にわかるんですけど、クソや小便の場合はお客さんが黙っていれば、こちらからは“今、クソ漏らしましたか”って聞きづらいじゃないですか。

ですから、ちょっと怪しいなってお客さんがいたら、トイレ寄りましょうかって声掛けるんですよ。

そうこうしているうちに自然とトイレの場所がわかるようになりましたね」

世は空前の高齢化社会。道を知っていることはもちろんのこと、トイレの場所を把握していないと、商売上がったりなのだそうです。

しかしながら、このスーパー運転手さんのおかげで知人は前代未聞の大惨事を避けることができました。

よく、無事故無違反の運転手さんの車に優のマークがついていますが、今後はシニア世代のために便所の場所を網羅している運転手さんの車には「便」のマークをつけてもらいたいものです。

文責:編集長原田