【シニアの交通安全】ドライブレコーダーの意外な盲点
過日、同世代の知人がチンタラ車を運転していたところ、電動自転車に乗った婆さんに散々煽られた挙句、前に割り込まれて、慌てて避けたところで事故を起こしました。
知人は脱糞するほどの恐怖を味わったと言っておりましたが、その話を誰に言っても信じてもらえないそうです。
事故現場に来たお巡りさんにも「電動自転車に乗った韋駄天神のような婆さんに煽られて意図的に事故らされた」と訴えたらしいのですが、「そんなバカな」と笑って取り合ってもらえません。年齢が年齢だけに白昼夢でも見たのではないかと思われてしまったようなのです。
実際、我々のような年寄りが車を運転していると、どんな災難が降りかかってくるかわかりません。
しかも、目が悪い上に反射神経や判断能力も衰えているので、他のドライバーから見ると、どうしてもグズグズ、チンタラ走っているように見えてしまうのです。
当然、周囲のドライバーはイライラするので煽られます。下手をすれば、先の知人のように電動自転車にも煽られる始末です。
だからと言って、70歳になっていないのに自ら率先して「もみじマーク」を貼り付けるのも癪に障ります。
ということで、仲間内の中には「ドライブレコーダー」をつける者が増え始めました。
これなら事故を起こしても煽られても証拠が残るので安心です。
シニアにとって、都会の道路は生き馬の目を抜くような場所なのです。
ところが、このドライブレコーダーが、とんでもない災難を引き起こしてしまいました。
原稿の進行上、渦中の人物を仮に佐藤さんとしましょう。あくまでも「仮」の名称ですが、佐藤さんには愛人がいます。
佐藤さんは古女房に「取引先とのゴルフコンペがある」と嘘をついては、ちょいちょい愛人と自家用車で出かけておりました。
それが、ドライブレコーダーをつけた途端にバレたのです。
聡明な快活読者の皆様なら、どうして佐藤さんの浮気がバレたのか、もうお分かりでしょう。
そうです。
古女房にドライブレコーダーの録画映像を見られたののです。
まずもってして、そこに写っていた光景は、明らかにゴルフ場に向かう道のりではありませんでした。
そこにはラブホテルの入口の逆さクラゲをくぐり抜ける佐藤氏の自家用車の様子がバッチリ写っていたのです。
極め付けは愛人を送り届けたシーンです。
無残にもドライブレコーダーには、愛人が手を振りながらバイバイをし、投げキッスまでしている破廉恥な光景が一部始終、記録されていたのです。
嗚呼、地獄の一丁目とはこのことでしょう。
佐藤さんが、どうなったかは顔の引っかき傷や頭の包帯を見れば、火を見るより明らかです。
地獄の鬼と化した古女房に激しい拷問を受けたに違いありません。
そして、この話は他人事ではありません。
シニアの運転は本当にいつ何時、どんな災難が降りかかってくるかわからないのです。
文責:編集長原田