街角ニュース ほぼ毎日更新!街角のニュースをお届け

2018.05.10

【還暦放浪記】ホームレス袋叩き編

先日、白昼堂々と公園で煙草を吸っている制服姿の高校生を見て、高校生の分をわきまえていないと激怒した私は、「これから先、私は周りの人間に煙たがられる口うるさい頑固ジジイになろう!」と固く心に誓った。(そのくだりをご存じない方はバックナンバーを見てください)

以来、私は私なりに道徳を守らない人間、分をわきまえない人間に対して口うるさく意見をいい続けてきた。毎日注意深く見ていると、そういう輩は意外といるのである。

そして先日、ついに事件が起きた

ある水曜日の夜、11時を回った山手線の中だった。高田馬場から30代後半~40代前半のサラリーマンと思しき3人組が乗ってきた。明らかに3人ともかなり酔っている。

彼らはすぐに車内で悪ふざけをはじめ、聞くに堪えない下品なジョークを大声でいったり、昔、私が学生の頃に歌った、今は誰も歌わないような春歌を歌ったり、さらには近くにいた若い女性をからかうなどのやりたい放題。当然、車内の人は全員迷惑そうな顔をしている。が、誰も注意しようとしない。

(仕方がない。俺が行くしかないか)

さすがに頭に来た私は、代々木駅を過ぎた辺りで彼らのそばに近づくと、

「おい、お前ら、いい加減にしろよ。みんな迷惑しているぞ」

と一言注意をした。

すると、一番年長と思える男が、

「何だ、この野郎。文句あんのか」

と逆ギレし、いきなり殴りかかってきた。こうなれば、こちらとしても応戦しないわけにはいかない。

しかし、所詮は3対1である。私に勝ち目はなく、当然のように彼らにボコられてしまったのだが、車内にいた人たちは誰1人として助けてくれようとはせず、見て見ぬふりをしているのである。世の中の人というのは冷たいものだ。

すると、その時、

「こら、酔っぱらい。俺たちが相手になるぞ」

といいながら、2人の若者がやって来て、私を助けてくれた。

見れば、2人とも両腕にびっしりタトゥーをし、両耳はもちろん鼻にもピアスをやっている。正直いって、普通だったら関わりたくないと思ってしまうような若者だった。

そんな2人を見て、酔っぱらいサラリーマン3人組もビビったのだろうか、ぶつぶつ文句をいいながらどこかに逃げていった。

「あいつら、ボコボコにしてやりたかったな。ぶん殴ってスッキリしたかったのに」

と、言葉は荒々しかったが、私に対しては

「大丈夫っすか。ケガないっすか」

と、2人はどこまでも優しかった。

「ありがとう。君たちのおかげで助かったよ」

2人と固い握手を交わして私は五反田で降りた。

(人を見かけで判断してはいけない)

この年になって、改めてそれを痛感した夜だった。

記事/快活60還暦ホームレス記者:清水一利

前の記事 【新感覚発見】シニアに「聞くだけ」は大切です