【祝日の恐怖】噂の裸族に遭遇
私の家はボロアパートの一番角に位置しています。
俗に言う角部屋というやつです。
角部屋というと、皆さん、なぜか「羨ましい」と言いますが、そこには隠れたデメリットもあります。
まず、カラスがたくさん飛来します。朝夕はカラスの大合唱で、時にはケンカなんぞを始めるので、うるさくてたまりません。
当然、ベランダの手すりはカラスのクソまみれになります。
クソだけならまだしも、キャツらはいろんなものを我が家に運んできます。
一番多いのは虫です。
しかも食って気に入らないとそのまま我が家の投棄して片付けもしません。
辛抱ならないのは、年に1、2度、ネズミの死骸を投棄することです。
こんな嫌がらせ、今時ヤクザでもしません。
また、自然現象の影響をモロに受けます。
特に私の家は北西側に面していますので夕方になると西日が直撃し、夏でもないのに暑くてたまりません。
どれほど暑いかというと、高熱で窓枠が変形するほどです。角部屋ゆえ、時間が経てば別の窓から西日が入ってくるので、逃げようがありません。
それに輪をかけて私を苦しめているのは「風」です。
我が家は地域のゴミ置場の真ん前にあるため、強風の日になると、死にたくなるほどゴミクズが飛んできます。
それをまたカラスがついばみに来て、クソまで垂れていくのでモーレツな悪循環です。
一度、カラス除けのキラキラ光る物体をベランダに取り付けてやったら、今度はご近所様から「まぶしい」とお叱りを受けてしまいました。
我が家に照りつける強烈な西日がキラキラに反射して四方一帯の家に「光害」を撒き散らしていたようなのです。
もはや、なすすべがないので、月に一度、風で飛んできたゴミやカラスのクソや食い掛けの虫やネズミを泣きながら掃除しています。
放っておけば、また風で飛んでいくかもしれませんが、角部屋ゆえに我が家には、そのフロア全体の排水溝があるのです。
万が一、これを詰まらせたりすれば、村八分にされるに違いありません。悠長なことは言ってられないのです。
ということで、本日はいつものように早朝からベランダでカラスのクソ掃除をしておりました。
昨晩の嵐のおかげで街のゴミも飛んできています。
コンビニのレシート、濡れた新聞紙の切れ端、お菓子の袋、カラスの羽、どっかの婆さんの白髪、誰かのチン毛かマ●毛、拾ってるだけでヘドが出ます。
もし、快活60の読者の皆様の中に天才発明家がいたら、道にゴミを捨てた奴のところにゴミを降らせる機械を発明してほしいものです。
念仏のようにブツブツと恨み節を言いながらクソやミソを拾っていたところ、私の横目にサッと動く気配を感じました。
んん? なんじゃ~?
時刻は朝の6時。祝日ゆえ、まだ多くの家が寝静まっています。
カラスだったのかな。
気を取り直してまた、クソ拾いを始めたところ、またサッとなります。
よく見ると、そのサッは向かいのマンションの一室で起こっているようなのです。
私はその部屋に目を凝らしました。
んん? お、おわっち!
私は目を疑ってしまいました。
そこにはカーテンを全開にしてオバハンが全裸でマ●毛まで晒して伸びをしているではありませんか。
ひ、ひゃ~。
オバハンはもしゃもしゃの髪をワチャワチャ掻きながら、大あくびをしています。
そしてまた、うーんと伸びをします。
完全丸出しです。いくらなんでも丸出しすぎます。
う、うげ~~~っ!
オバハンはガマのような顔をして階下の道路を見ています。どうやら雨が上がったかどうか確認しているようです。もちろん、向こう側に、これまたガマのような顔してその様子を見ている私には気づきもしません。
ぐ、ぐぶぅ。
あまりの光景に蛇に睨まれたカエルのようになっている私を尻目にオバハンはカーテンをサッと閉めて部屋の中に戻って行きました。
クワバラクワバラ鶴亀鶴亀
悪魔除けの呪文を唱え、私はナニゴトもなかったようにまたクソ拾いを再開したのです。
ようやくクソ拾いとゴミ拾いと虫拾いが終わったの時には、とうに8時を過ぎていました。私は2時間もかけてベランダ掃除をしたことになりますが、これも角部屋ゆえ、2つもベランダがあるデメリットと言えましょう。
綺麗になったベランダに仁王立ちして腰を伸ばしていると、またあの部屋のカーテンがサッと開きました。
あうっ!
思わず声をあげてしまったのは、オバハンが2時間以上経っても、まだ全裸でマン毛を出していたことと、それに驚いて腰をやってしまったからです。
これが噂に聞く「裸族」というやつでしょうか。おそらくオバハンはこの四連休は、一日中マン毛を出しているに違いありません。
事実、以前私が女性を対象にした「裸族」に関する調査でも、若い娘よりも中高年女性のほうが、高い裸族率を誇っておりました。
しかしながらもし、あのオバハンに亭主がいるとしたら、一体全体どういう了見なんでしょう。喜んでいるのか憂いているのか、それは皆目見当がつきませんが、もし皆様の細君に裸族の方がいらっしゃいましたら、カーテンを開ける時には細心の注意をしていただけるようお伝えいただければ幸いです。腰をやられる人もいますから。
文責:編集長原田