【還暦放浪記】初夏のホームレスグルメ
春になって寒くもなく暑くもなく、外で時間を潰すにはいい季節になってきた。都会のど真ん中にも、歩いていると意外とあちこちに公園があり、緑の中でのんびりしているのは案外いいものである。これぞホームレスならではの楽しみかもしれない。
先日、港区内のある公園に行ったら、タンポポがたくさん咲いていた。改めてよく見ると、なかなか可愛い花だなあなんて柄にもなく感傷的な気分に浸っていたが、ふとあることを思い出した。
以前何かの本で読んだことがあるのだが、タンポポはたしか食べられるのだ。
すぐにネットで調べてみると、サラダや天ぷら、おひたし、味噌汁などといった基本編からバター醤油炒め、ぬか漬け、きんぴらなどの応用編までいろいろと出ているじゃありませんか。
せっかくホームレスをやっているんだから、これはぜひともやってみなくてはなるまい。公園に咲いているタンポポを食すなんてことは、いかにもホームレスっぽいもんね。
ということで、アルバイトで通っている五反田のマンションで調理にチャレンジしてみることにした。
作ったのはタンポポサラダ。これが一番簡単そうだったからだ。何しろよく洗ってお好みのドレッシングをかけるだけ。これなら誰でもできる。
用意したのは公園で採取したタンポポの葉。ネットに出ていたタンポポサラダには、ゆで卵やトマト、レタスなども一緒に使うといいと書いてあったが、ここは敢えてタンポポだけで作ってみることにした。
タンポポを食べる時に問題となるのは独特の苦みがあるということだが、ゴーヤを食べられる人なら大丈夫だろう。ネットによるとタンポポには在来種(カントウタンポポ、カンサイタンポポ)と外来種(セイヨウタンポポ)があり、味が全然違うのだそうだ。この2つのうち外来種のほうがより苦味が強いので、食べるなら在来種を探して食べるのがおススメだ。
ちなみに、在来種と外来種のタンポポの見分け方は花弁の下にある部分をチェックして、外片が上向きになっているのが在来種だそうだ。覚えておくといいかも。
さて、調理というほどのこともなく、よ~く洗って市販のドレッシングやマヨネーズ、オリーブオイルなどをかけて食べてみた。
たしかに苦味はあるが、それが独特の風味になってなかなかおいしい。特に私はオリーブオイルに塩、コショウで食べるのが気に入った。それから食べた後、別にお腹を壊したということもなかったことを念のためにご報告しておく。
というわけで、皆さんもぜひタンポポを食べてみてはどうだろう。ひと時のホームレス気分が味わえるはずだ。私はさらに次のタンポポレシピに挑戦してみるつもりである。
記事/快活60還暦ホームレス記者:清水一利