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2018.03.15

【還暦放浪記】野宿実行編

春の到来とともに、ついに公園での野宿デビューを果たした私。ベンチに横になり、このまま真のホームレスへの道を突き進んでいくのだろうかと考えているうちにいつしか眠りに落ちていったらしい。

私はどちらかというと、どこでも寝られるタイプの人間だ。これまでも出張などに行って枕が変わっても全然平気だったし、今のホームレス生活でもホステルの隣のベッドで寝ている人間のいびきがひどくても全く気にならずに安眠できた。そういう意味ではデリケートとは程遠い、いわば無神経な人間なのである。

ところが、野宿は違った。

少しウトウトしても、ほんのわずかでも物音がしたり、人の気配を感じたりすると目が覚めてしまう。妙に神経が苛立ってしまって一向に熟睡できないのだ。

おまけに明け方近くなると夜露が下りてくるのか、3月半ばとはいえ、やたらに冷えて寒さを感じるようになった。

これはいかん。やっぱり本物のホームレスであるCさんが言っていたように、段ボールと新聞紙は快適な野宿のための必需品なのだった。先達の貴重なアドバイスは、きちんと心に留めておかなくてはならないことを私は改めて痛感した。

結局、私はほとんど眠ることができずに朝を迎えることとなってしまった。

当然のことながら何となく体が重く、気分がすぐれない。野宿をなめていたバチが当たったのだろうと素直に反省した。

それにしても、街中や公園などで見かけるホームレスの皆さんはすごいなあ。道端やベンチでしっかり熟睡しているもの。さすがに「プロ」は違う。

私が初の野宿に失敗して数日後、ネットカフェで件のCさんにまた会った。アルミ缶集めで儲かったので泊りに来たのだろう。さっそく数日前の顛末を報告すると、Cさんはニヤニヤ笑いながら、

「そうだろう、段ボールと新聞紙は絶対に必要なことがよく分かっただろう。それを用意しないで野宿するなんて無謀だ。自殺行為だよ。それに、そもそも俺たちホームレスは夜行性なんだ。寝るのは昼間で、夜はオレにみたいに空き缶集めをしたり、1日のエサを探したりするんだよ。

え、どうして夜寝ないのかって? 

危ないからだよ。人様のように夜寝ていると、ホームレスだからっていってタチのよくない若者に襲われたり、同じホームレス仲間にモノを盗まれたりすることもあるからね。だから、寝るのは昼間に限る。それもどちらかといえば人通りの多いところで寝るんだよ

とまた新たな、そして貴重なアドバイスをしてくれた。

それを聞いた私は即座に、

(なるほど、そうなのか。ホームレスは夜ではなくて昼の間に寝るのか。よし、今度はそれでやってみよう)

と考えていた。

何じゃい、まだやるのかいな。何とも懲りない私なのであった。

記事/快活60還暦ホームレス記者:清水一利

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