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2018.03.07

【還暦放浪記】「昭和の名作漫画」回顧編

先日、泪橋のホステル「A」に泊ったことで、これまで行ったこともなかった山谷という街に俄然、興味を持ってしまった。

かの名作『あしたのジョー』の中で矢吹丈がつぶやくこのドヤ街特有のニオイが何とも言えねえ」というセリフにもすっかり感化され、ぜひとも一度、山谷ならではの簡易宿泊所に泊ってみたいものだと思うようになったのだ。

今、山谷という正式な住所はない。台東区の清川、東浅草、日本堤周辺を俗に山谷と呼んでいる。最寄駅は東京メトロ・JR常磐線の南千住駅。そこから歩いて10分ほどだ。

ちなみに『あしたのジョー』に登場する思川も、その上に架かっていた泪橋も今はその面影すらどこにも見当たらない。丹下段平がジョーのために作った『丹下拳闘クラブ』は泪橋の下にあったはずなのだが。

というか、それもそのはず、思川は遠く明治時代に地下に埋められたものの、たしかにあったことは間違いないのだが、実は泪橋という橋は最初から全く存在していなかったのだ。

つまり、原作者・梶原一騎先生の創作だったらしいのだ。このことだけを見ても、梶原先生がいかに優れたストーリーテラーだったかがよく分かる。

話が横道に逸れてきたので元に戻そう。

肝心の簡易宿泊所は山谷地区の中心にある「いろは会商店街」の周辺に多く点在している。

この商店街は作品の舞台になったことから「あしたのジョー」とタイアップ、矢吹丈の銅像があったりして、それなりに興味深く面白い商店街なのだ。

しかし、地方都市の商店街のようにシャッターが閉まったままの店が多く、昼間からその前で酔っ払って寝ている高齢の労働者がいたりで全くといっていいほど活気がない。一種独特のすえた臭いも漂っていて、死んだ街のようになってしまっているのが何とも残念だ。

聞けば、人気漫画『孤独のグルメ』の記念すべき第1回で井之頭五郎が食べた「ぶた肉いためライス」は、この商店街の食堂のメニューなのだとか。

これは何としても食べてみなくてはと思って調べたところ、その店『大衆食堂きぬ川』は去年10月、60年の歴史に幕を閉じていた。

う~ん残念! タッチの差で間に合わなかった。そもそも『孤独のグルメ』は、あ、いかん、また話が逸れ出した。元に戻そう。

簡易宿泊所は1泊2000円前後で泊れる。もちろん食事などはついてない素泊まりというやつである。2軒3軒と連なっているところもあるから、宿泊所全体の数はかなりになるはずだ。

ということは、おそらくそれなりの需要があるのだろう。

私は歩きながら、今晩どこに泊ろうかと品定めをしていた。何しろ普通のホテルや旅館のようにネットで予約するなどという今どきのシステムとは全く無縁のところなのだ。飛び込みで入り、じかに交渉するしかないのである。

ただし、玄関先に「全室冷暖房完備 カラーテレビあります」という、何とも昭和なメッセージを出している宿があるかと思えば、一方で「WiFi使えます」という貼り紙をしているところもあってちょっとびっくり。ここ山谷にも確実にITの波が押し寄せてきているのであった。

(いいところではあるが、続きは次回に)

記事/快活60還暦無宿記者:清水一利

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