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2018.02.23

【還暦放浪記】ホームレス「救いの手」編

不本意ながらも依然としてホームレス生活を余儀なくされている私に、知人が願ってもない仕事の話を持ってきてくれた。

五反田のとある高級賃貸マンションの管理人をやらないかという話である。

五反田というと、私には熟女やSMなど風俗店が多く、東の大塚、巣鴨と並ぶ西の横綱とのイメージしかないのだが、実は御殿山や島津山などといった都内屈指の超高級住宅地があるところとしても知られている。

今はなくなってしまったが、美智子皇后の実家である正田家もこの五反田にあったのだ。

私が働くことになったマンションはJR五反田駅から歩いて約5分。守秘義務があるため詳しく書くわけにはいかないのだが、芸能人も何人か暮らしている。それなりのステータスのあるマンションということだ。

仕事は3人の交代制で、3日に一度の24時間勤務。朝9時から翌日の朝9時まで働くことになっているのだが、私にとってここでの仕事がありがたいのは作業そのものはそんなに大変でもなく、むしろヒマ。空いている時間には管理人室にパソコンを持ち込んで原稿書きの仕事ができる上、しかも午前0時から6時までは仮眠してもいいということだ。

日頃ネットカフェやカプセルホテルで寝起きしている私にしてみれば、管理人室の折り畳み式簡易ベッドは贅沢すぎるほどだ。寝心地も決して悪くなく、今ではこの仕事の日を楽しみにしているくらいなのである。

3日に一度ということは、少なくとも月に10日は管理人室で寝られるということだ。それに、もう一つ嬉しいのは、管理人用のロッカーがあることに加えて、マンション内の至るところにデッドスペースがあり、そこに私物をこっそり置いておける。

つまり、着替えの洋服や下着などを持ち歩かなくて済むというわけだ。おかげで私の背中のリュックはすっかり軽くなり、あまりの重さに悲鳴を上げていた私の肩や背中もずいぶんと楽になった。

このようにいいことづくめで何の不満もない新しい仕事なのだが、実は困ったことが出てきてしまった。

というのも3日に一度とはいえ、月に10日間は安眠できるところができたことで、ねぐらを探そうという気持ちが次第に萎えてきてしまっているのだ。

「管理人室、ネットカフェ、カプセルホテルー管理人室」というローテーションが確立するにつれて私の体も心もそれに適応し、すっかり馴染んでしまった。

はたしてこれでいいのか悪いのか? 今はいいかもしれないけど、長い目で見れば、やっぱりまずいんだろうなあ。

記事/快活60還暦記者:清水一利

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