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2018.02.07

【サバイバル特集】拾い食いと盗み食い

「どんなことがあっても拾い食いだけはするな」

これは、私が幼い頃、親に口すっぱく言われていた言葉です。

「拾い食い」

読んで字のごとく道に落ちているものを拾って食うことですが、当時の私は「拾い食い」がどうしていけないのか、あまりよくわかっていませんでした。

そもそも落ちている食い物は、ソコに捨てられているわけですから、誰のものでもありません。それを食って何がいけないのか、まったく理解ができなかったのです。

むしろ、人の物を盗んで食う「盗み食い」よりよっぽどマシだと思っていました。

ある日、母親と一緒に買い物に出かけたところ、お地蔵さんの前にとても美味しそうなお饅頭がお供えされていました。

私は悩みました。そのお饅頭は、すでに他の誰かのものではありませんが、お地蔵さんの物です。

その頃は「拾い食い」はするなと言われていましたが、「盗み食い」については、まだ何のお咎めもされていませんでした。

我が家の場合、「盗み食い」は「拾い食い」より罪が軽いように思えたのです。

私は頭を抱えてしまいました。

この場合、饅頭を食ったら「拾い食い」になるのか、それとも「盗み食い」になるのか、当時幼かった私には判別できなかったからです。

こう言うと、そもそも「食わない」という選択肢はなかったのかとキョーレツなツッコミを入れられそうですが、当時の私には、その選択肢はありませんでした。

小さな脳ミソで散々、悩んだ挙句、私は饅頭に手を伸ばすことにしました。

「盗み食い」をすることにしたのです。

饅頭を掴んだ瞬間、脳震とうが起こるほどの激痛が頭頂部に襲いかかりました。

母親に思いっきりハタかれたのです。

一瞬、気をやってしまいそうになりましたが、日露戦争の英雄、キグチコウヘイが死んでも口からラッパを離さなかった美談よろしく、私も死んでも饅頭だけは離しませんでした。

その後、饅頭を取り上げようとする母親、取られまいと抵抗する私。のどかな田舎道は、饅頭一つを巡って、母と子の血で血を洗う修羅場と化したのです。

そのうち、近所の爺さんや婆さんが母親に加勢し、騒ぎを聞きつけたお巡りさんも乱入し、上を下にの大騒ぎになりました。

結局、饅頭は取り上げられ、騒動は鎮静化しましたが、母親や町の人が、これほどまでに騒いだのには理由がありました。

私が手にしたのは、野犬殺しのための「毒入り饅頭」だったのです。

当時、私の町には。それはそれはたくさんの野犬がうろついていました。小さな子供が野犬に襲われる事件も頻発し、町はその対応に頭を悩ませていたのです。

そこで、登場したのが、野犬殺し用の「毒饅頭」でした。

今の世の中ではコンプライアンス上、考えられないことですが、私の小さい頃はまだホウ酸団子や毒饅頭など、害獣殺しの毒物が町中に転がっていたのです。

ともあれ、自分の息子が野犬以下の知能しか持ち合わせていなかったことに両親は嘆き悲しみました。その姿を見た私も深く反省しました。

そして、そこで初めてタダで落ちているものには、必ず「ワナ」があるということを学習したのです。

この事件以来、私は「拾い食い」も「盗み食い」もしなくなりました。

何の苦労もせずに手に入った食べ物には必ず「ワナ」がある。

この考え方は、後に私の座右の銘にもなったのです。

時は過ぎて現代。

気がつくと、世の中には様々な「タダ」のものが落ちています。

何の苦労もせずに手に入るものも沢山あります。

人は皆、労せずに大金を手にしようとしていますし、汗水垂らすことなく美味い物が食べられると勝手に信じています。

私には、これらのものが、毒饅頭に見えて仕方がありません。

そこに群がる人々は、さながら野犬です。いや、もしかしたら野犬すら近寄らないシロモノかもしれません。

近年、仮想通貨なるものが、たいそう話題になっています。

楽してお金が増えると若い人たちに大人気だそうです。

これは、未来に向けての新たな希望なのか、はたまた毒饅頭なのか。

いずれにせよ、口に入れてから考えるようでは遅いような気がします。

中高年の皆様、タダほど高いものはありません。楽して金が儲かる虫のいい話もありません。

繁華街に落ちている酔いつぶれている女はきっと妙な病気を持っています。

中高年の拾い食いは命取りになります。

2月は詐欺が増える時期でもあります。くれぐれもご注意を。

文責:編集長原田

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