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2018.02.02

【シリーズオッサンと犬】ペットに先立たれたらどうしましょう

私は海沿いの街に育ちました。

こういうと皆さん、豊かな大自然やロマンティックな日没の光景をイメージすると思います。

母なる海。

よく海はすべての生命の源ともいわれています。

しかし、私が幼少期から青春時代まで見続けてきた「海」はちょっと違っていました。

私にとっての海は悪の巣窟だったです。

埠頭には、もはや原型をほとんどとどめていないエビのようなバイクと、あと少しで地面に車体がくっついてしまいそうな車高短がいつも止まっていました。

乗り物がそれですから、持ち主はもっとタイヘンなことになってました。

全員、ニワトリのような頭をして、特攻服と呼ばれる衣装に身を包んでいたのです。

彼らは火を付けたドラム缶を並べてリングを作り、何かにつけては、タイマンを張っていました。

そんな男たちにくっついている女たちも、ただ者ではありませんでした。

髪の毛の色だけ見たら、日本人と判別するのが難しいイデタチで一目でアバズレとわかるような格好をしていました。

しかも、洋服には、いつも日本語に訳したら目を覆いたくなるようなハシタナイ英語がしたためられてい流のです。

そんな彼らでしたが、埠頭の「迷い犬」をたいそう可愛がっていました。

今でいう野良犬です。

野良犬は「ザビエル」という名前が付けられていました。

犬は、何かの手違いで頭のてっぺんが禿げ散らかっていたのです。

名前の由来はその容姿によるものだけではありませんでした。

ザビエルはたいそう賢い犬だったのです。

ある日、波打ち際で、年老いたホームレスがザビエルにパンを与えていました。

海に夕日が傾きかけ、何とも言えぬいい光景です。

私は水平線の彼方に小さく浮かぶ船を眺めていました。

ふと、何の気なしにまた、波打ち際を見ると、ホームレスがいません。

同時にザビエルが猛烈な勢いで私のほうに駆けてくるのが見えます。

流されたか!

私が波打ち際に走り始めると、ザビエルは何度も私の顔を振り返りながら、誘導するのです。

こいつ、賢い!

老人は海に流されていませんでした。

パンを喉に詰まらせて、流木の陰で悶え苦しんでいたのです。

ともあれ、老人はザビエルのお陰で一命を取り留めることができました。

そんなこんなで、ザビエルは、この海に集まる「不貞な輩」たちのアイドル犬だったのです。

そんなある日、悲しみは突然、訪れました。

ザビエルが天に召されたのです。

ザビエルを囲んで、トサカ頭と金髪娘が悲しみにくれています。

私もザビエルの死が悲しくて、涙が止まりませんでした。

すると、トサカの一人が「ザビエルのお葬式をしてやろう」と言い出しました。

私はてっきり、トサカたちがこの港のどこかにザビエルのお墓を作ってあげようとしているのだと思いました。が、全然違いました。

彼らは、ザビエルの亡骸を丁寧に毛布に包むと、こともあろうに街の葬儀屋に「特攻」をかけたのです。

それからがてんやわんやでした。

恐ろしい身なりをした連中が、犬の死体を持ち込んで、「火葬にしろ」と騒ぎ立てているわけです。

事の成り行きを知らない葬儀屋の社長からしてみればトサカたちは、突然現れたただのサイコです。イカれ野郎にしか見えません。

ほどなくして、パトカーが山のように集まってきて、ようやく事態は沈静化しました。

その後、トサカたちがどうなったのか。ザビエルが荼毘に付されたのかどうかはわかりません。

思えば、あれからおよそ四半世紀の時が経ちました。

実は今、犬や猫をはじめとした「ペットの葬儀」は格段に進化しているのです。

その中でも頭ひとつ抜きん出た度肝を抜くペット葬儀を展開しているのが、東京は西八王子にある「フランセス・メモリアル」です。

何がすごいかというと、まずはこの建物です。

元はブライダルチャペルだったというこの建物すべてが「ペット専用」のメモリアルなのです。

中に入ってみましょう。

おや? こりゃ納骨堂ですかね?

どうやら洋式の納骨堂のようです。

しかし、タダゴトじゃあありませんよ、こりゃ。

飼い主が死んだって、こんなに手厚く葬ってはもらえないと思います。

骨壷や装飾品だってこんなにお洒落です。骨壷には愛犬や愛猫を印刷だってできてしまいます。

ん? こりゃなんですか?

ちょうど、こちらの商品を販売されている『フォレスト・モモ』のご担当者さんがいらっしゃったので聞いてみました。

「こちらの商品はハートフルベースと言いまして、ご自宅用のペットの納骨ボックスになります。

ペットが亡くなった飼い主さんの切なるご要望にお応えする形で考案されました」(ご担当者様)

実際、フォレスト・モモにはペットを亡くした方々の様々な思いが寄せられているそうです。

なかでも、火葬した「お骨」の扱いについては切実な模様。

「お骨を手元に置くしかないのだけど、しんみりしたくない」

「できれば、亡くなったペットを近くで感じていたい」

「仏壇以外に何かないのか」

などのほか、「お骨を埋めるための庭がない」というように都会に暮らす愛犬家ならではのお悩みも。

確かにこれなら、お花も自然な形で飾れますし、奥行きが深いので、多頭飼いの方にも便利です。

1階であれこれ物色していると、2階で何やら物音がします。

一体、何をしているのでしょう。

階段に「模擬葬儀実演」と書いてあります。

どうやらペットの葬儀の模様を見学できるようです。

早速、入ってみましょう。

いきなりステンドグラス!

そして、司祭さん?

これはかなり本格的です。

そして極めつけは参加者全員で歌う「賛美歌」です。

おそらく、人間の葬式でもこんなに煌びやかなものは少ないでしょう。

まさに至れり尽せりです。

ここまで、やってもらえば、どんなペットロスの方でも悲しみとサヨナラすることができます。

ザビエルが亡くなってから約30年。誰が、このような施設ができることを想像したでしょう。

もし、あの頃、このような施設があったなら、トサカたちも葬儀屋に特攻はかけなかったでしょうし、逮捕されることもなかったでしょう。

今、ペットは家族と一緒です。その死は、思った以上に心に傷を与え、精神にダメージを残します。

愛する者の死を認め、盛大に送り出してあげるシステムこそ、これから時代のペットと人間、そしてペットとおっさんの心の安定を作り出す最良の策かもしれません。

まずは一度、ワンちゃん、ニャンちゃんを連れて見学に行ってみてはいかがでしょう。

フランセス・メモリアルでは、暇を持て余しちゃうワンちゃんのために「ドッグ・ラン」も常設していますから。

取材:編集長原田

【取材協力】

フランセス・メモリアル東京(0120-900-408)

http://petsou.statice-co.com

フォレスト・モモ(03-6379-7631)

www.forestmomo.com

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