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2018.01.31

【都市の幻影】男と女の日比谷公園

今から30~40年前の昭和時代、日比谷公園を中心とした都心の大きな公園には、夜になると「出歯亀」という変態趣味を持った人々が、それはそれはたくさん集まってきたものでした。

聡明な皆さまのことですから、既にご存知とは思いますが、出歯亀とは明治末期の異常性欲者、池田亀太郎こと出っ歯の亀太郎をその由来にし、他人の助平を覗き見ることを常習とする変態の中の変態のことです。

変態の王様ですから、その風体も異様そのものでした。

全身をぴったりとした黒ずくめのタイツで覆い、顔を靴墨で真っ黒に塗り、同じく靴墨で汚した日本手ぬぐいを頭から被り、闇に紛れて公園のベンチや暗がりでイチャコラしているアベックに近づいては、その情事を覗きみるのです。

当時、その聖地と言われた日比谷公園には日本全国から出歯亀が大集結し、大変な賑わいだったものです。

挙げ句の果てには、出歯亀の「貸衣装屋」なる便乗商売まで登場したほどで、確か当時、「出歯亀セット」はレンタル料1時間3千円ぐらいだったと記憶しております。

驚きなのは、そんな出歯亀たちの正体は意外にも丸の内などに勤めるエリートサラリーマンだったりしたことです。おそらく彼らは日常の仕事のストレスを出歯亀に「変身」することで発散していたに違いありません。

変態欲を満たしていたのは何も出歯亀だけではありませんでした。アベックたちもまた、「見られること」で刺激を受け、危険で淫らな情交にヨダレが出るほど興奮していたのです。

見るものと見られるもの。出歯亀というコスプレに身を包んだ変態エリートと、アベックという姿をした異常性癖の男女。そこには変態同士の固い絆があったに違いありません。

そんな「出歯亀の街」日比谷が今、大きく生まれ変わろうとしています。

東京ミッドタウン日比谷。

なんでも日比谷公園の向かい側に地上35階建ての巨大複合施設が誕生するそうです。

幸い、この複合施設には住居棟がないようなので出歯亀が大挙して入居するということはなさそうですが、問題なのは「見せたがりアベック」のほうです。

公園の前にこんな賑やかな建物ができるわけです。

それは、見られたい男女からすれば、観客が増えることと、なんら変わりはありません。

こうなると日比谷公園が、再び変態たちの「喜びのステージ」に返り咲く可能性は捨て切れません。

奇しくもオープンは2018年3月29日。変態が蠢く時期と重なります。

この新しい東京のシンボルが「新しい変態のシンボル」にならないことを心から願うばかりです。

文責:編集長原田

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