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2018.01.30

【医療現場最前線】鉄人たちの診察室

鬼の霍乱でしょうか。久しぶりにキンタマが沸騰するほどの高熱を発し、私は歩道でひざまづいてしまいました。

立ち上がって動こうとするのですが、目が回って寸分たりとも動くことができません。

そのうち、異変に気付いた街の人が集まってきました。まず一人目はオバちゃんでした。

オバ:「どうしたの? 具合悪いの? 救急車呼ぶぅ?」

次に近所の会社にお勤めと思しき部長っぽい人たちが現れました。

部長:「どうしたキミ。歩けないのかね。ん? 熱があるんじゃないのか? こりゃいかん。すぐに救急車を呼ばないと」

街の人たちはとても親切だったのですが、皆、口を揃えて救急車を呼ぼうとするのです。

そしてその理由はすぐに明らかになりました。

私:「いえ、大丈夫です。この近くに病院はないですか?」

オバ:「病院? あることはあるんだけどねぇ。あそこはちょっと……」

オバちゃんが周囲に助言を求めるように語ります。

すると、部長も即座に呼応します。

部長:「あそこはいかんだろ。わざわざ死にに行くようなものだ」

一体、この街にはどんな死神病院が開業しているというのでしょう。

聞けば、その病院は目と鼻の先です。

高熱でまともな判断能力を失っていた私は、街の人たちの反対を押し切り、その病院へ向かいました。

ドアを開けると「リンゴーン、リンゴーン」と音がして、お世辞にも美しいとは言えない看護師が一人出てきました。

そして私を見るなり、奥の診察室に向かってこう叫んだのです。

「先生っ! 先生っ! きてくださいっ! 様子のおかしい方がっ!」

様子のおかしいとは私のどの辺を指して言ったのか定かではありませんが、看護師の叫び声にすぐさま、医師が現れました。

私が見た医師の第一印象は、大日本帝國陸軍医

院長は驚くほどの爺さんでしたが、その姿勢は小野田少尉を彷彿とさせるほど、カクシャクとしていたのです。

軍医は、一目私を見るなり、「これはいかん。すぐに処置の準備を」と看護師に命令を下しました。

そして様々な検査をしながら私にこういうのです。

「治りたいという気持ちはあるか!」

私もこれまで様々な病院に行きましたが、医師にこんなことを聞かれたのは初めてです。

当然、治りたい旨を伝えると、看護師に点滴をするように指示を出しました。

街の人たちの事前情報では死神病院とのことでしたので、針を打ち間違えられるんじゃないかと、ヒヤヒヤしましたが、そんなことはありませんでした。

処置室で点滴をしながら寝ていると、隣の診察室に患者が来たようでした。男と女の声。話の内容を聞いた感じでは、どうやら診察室の患者は年配の夫婦のようでした。年の頃は50代でしょうか? 風邪をひいた旦那さんに奥様が付き添ってきたようです。

医師と夫婦はごく普通の会話を交わしておりましたが、診察も終わりに近づき、薬を処方する段になって、様子が一変しました。

旦那様のほうが、唐突に医師にこんな質問を投げかけたのです。

「この薬は勃起力にマイナスになったりしませんか」

耳を疑いました。診察室の患者は夫婦で来ているはずです。一体、どんな好きモノ夫婦が来院しているというのでしょうか?

すると医師は、まったく同様することもなくこう言い放ちました。

「ヤりたい気持ちはあるのか」

夫婦も即答です。

「もちろんです」

「なら大丈夫」と医師が太鼓判を押すと、中年夫婦は安心して帰って行きました。

どうやら、街で噂の死神病院は「患者の切なる思い」を大事にする病院だったようです。

ちなみに「治りたいか」の質問に沢尻エリカ様の様に「別に」なんて答えたりすると、えらい時間、説教をされるそうです。

でも、これって実は名医なんじゃないでしょうか?

たまたま倒れた街で、もしかしたら私は医学界の鉄人に会ったのかもしれません。

文責:編集長原田