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2018.01.13

【週末特集】間違いだらけの「江戸っ子の作法」

正確に調べたわけではないが、あくまでも筆者の独断と偏見でいえば、一般的に東京の銭湯の湯は他に比べると熱い。中には半端な熱さではなく、痛いと感じるほど激熱の銭湯もある。

その昔、江戸っ子は熱い湯にやせ我慢をして浸かり、さっと入ってさっと出るのが粋であり、江戸っ子の心意気であるとされた。

筆者も子供の頃、銭湯に行くと、そこには牢名主のような強面の老人が真っ赤な顔をして湯に浸かっていて、乱暴に湯船に入ろうとすると、

「坊主、湯を動かすんじゃねえ。湯が食いつきやがる」

とにらまれたし、あまりの熱さに水で温めようとするものなら、ドスの利いた声で、

「おいおい、小僧、水なんか入れてどうすんだ。せっかくのいい塩梅の風呂が台無しになるじゃねえか」

と脅かされたものだ。

東京の銭湯には、そんな江戸っ子の粋の名残りがあるのかもしれないが、さらにもう1つ現実的な理由もある。

東京の銭湯の湯の温度は、都の条例によって1991年までは42℃以上と決められていた。それは殺菌のためのようで、現在はさらに殺菌の効果を高めるために一度60℃以上に加熱した後、42℃まで下げた湯を湯船に送っている銭湯がほとんどなのだという。

つまり、衛生上の理由というわけだが、実はこれは表向きのいいわけで、以前に比べて消毒剤や湯の循環浄化装置が格段に進歩している現代はそこまで高温にする必要はない。

実際には、のんびり長湯ができないよう高温にして、お客の回転率を上げようというのが狙いなのだとか。たしかに42℃でも熱い湯が苦手な人にはかなり熱く感じるから、長湯はできないだろう。

一方、医学的な見地から熱い湯の入浴に警鐘を鳴らす専門家も少なくない。その1人、北海道大学保健管理センターの大塚吉則氏は、

「湯の温度が38℃以上になると心拍数や血流量、血流速度が増加し始め、42℃以上の熱い湯に10分以上入ると、交感神経が興奮して血管を収縮させ、入浴直後から血圧が20~40上昇。脈拍や体温も上がるので、高齢者はこうした高温浴は避けるべきです」

という。

たしかに「熱い湯に涼しい顔をして入る」江戸っ子の粋も大事かもしれないが、そのために命を落としてはシャレにもならない。

熱い風呂好きのシニア層には40℃前後の適切な湯温で、体に負担をかけない健康的な入浴を心がけてもらいたいものだ。

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