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2017.11.30

【昭和探索】昔懐かし「赤チン」は今も健在

今のシニアが子供だった昭和30~40年代にかけて、原っぱを駆け回っていた小学生たちの手や足はいつも真っ赤に染まっていた。転んでケガをすると母親が必ず「赤チン」を塗って消毒してくれたからだ。

赤チンはマーキュロクロムという原料の2%水溶液のことで、正式には「マーキュロクロム液」という。マーキュロクロムそのものは深緑色だが、精製水を注ぐと真っ赤に変色することから赤チンと呼ばれるようになった。

ちなみに、赤チンのチンはチンキのことで、チンキは生薬やハーブの成分をエタノールと精製水の混合液に浸すことで作られる液状の製剤を指すが、赤チンはエタノールを使っていないので正確にはチンキではないし、もちろんチンチンのことでもない。それでも語呂が良かったのか、いつしか赤チンという愛称がついたのだ。

昭和40年代の最盛期にはどこの家庭にも必ず常備されていて、月に10万本以上が売れていた。製薬メーカーにとって赤チンは大きなドル箱だった。

ところが、マーキュロクロムを精製する時に出る廃液に有毒物質の水銀が含まれることが問題となり、赤チン自体には何の害がなかったにもかかわらず、「赤チンを塗ると体に毒が溜まる」という風評被害もあって売り上げが激減。各メーカーは国内での生産を自主的に中止した。

そんな中にあって、昭和33年の創業以来現在もなお都内で唯一、赤チンを作り続けているのが世田谷区にある三栄製薬だ。

現在、同社の主力製品は傷薬、動物用薬品などで、月に3000本の生産量という赤チンの売上げは全体の数パーセントにも満たないそうだ。それでも、2代目社長の藤森博昭さんは、

「赤チンは皮膚の奥には浸透しないので、しみないし痛くない上に、他の消毒薬を超える優れた殺菌効果があるんですよ。それに、70代80代の年配の方から『傷にはやっぱり赤チンだ。そうじゃないと効いたような気がしない』というファンレターが届いたりするんです。正直なところ商売的には儲かりませんが、そういうファンがいる限り作り続けたいですね」

赤チンは今もなお現役だ。購入はドラッグストアで注文、もしくはネットで。

三栄製薬

03-5313-3333