【男の別れ】東芝の提供降板で「サザエさん」はどうなる?
「イッチ、ニー、サン、シー、ゴックロウさん、ロック、シッチ、ハッキリクッキリ、東芝さん!ぐー」
シニア世代ならこのフレーズに聞き覚えのある方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
これは東芝のブラックストライプというカラーテレビのCMで、あの桂三枝師匠が吟じたフレーズです。
この歌は当時の子供たちの間でも大流行し、ブラックストライプは家電業界で一世を風靡しました。
家電だけではありません。東芝は半導体やコンピュータ、エレベーターや鉄道車両、原子炉から果ては軍事機器まで、様々な分野で優れた製品を産みだしてきました。
東芝は、まさに日本国を代表する企業と言ってっも過言ではありません。
ゆえにCMモデルとして採用された方々も一流どころばかり。榊原郁恵さん、横山やすし師匠、山崎努さん、草刈正雄さん、薬師丸ひろ子さん、原田知世さん、数え上げればきりがありません。
東芝のCMモデルは、一流芸能人の証明でもあったわけです。
今、この東芝が「あること」でお茶の間を激しく震撼させています。
こともあろうに、日本のシンボルとも言える企業・東芝が、国民的アニメ「サザエさん」のCM提供を降板するというのです。
このニュースを聞いた瞬間の人々のショックは計り知れないものがあったでしょう。
お父さんはヤケ酒に走り、お母さんは無駄遣いをし、子供達は泣き叫び、お年寄りは腰を抜かして失禁や脱糞を余儀なくされたに違いありません。
もっと悲惨なのは、当該であるフジテレビと電通の社員たちです。
何しろ、1969年の放送開始から50年近くも共に歩んできた恋人とも言えるクライアントです。両社ともに上を下への大騒ぎなったことでしょう。多くの社員達が天を仰ぎ、神や仏に拝んだに違いありません。
実は、このことで打撃を受けたのはお茶の間やテレビ局だけではありません。
あまり報道されてはいませんが、私たち出版業界も大きな衝撃を受けているのです。
出版社が発行している「雑誌」は、その収入の約5割を書店さんやコンビニの売り上げ、そして残りの半分を「広告収入」に頼っています。
言い換えれば、広告収入がないと、雑誌は存続できません。
そしてこの東芝の「サザエさん」提供撤退は雑誌広告にも暗い影を落としているのです。
雑誌広告の世界には「業界3T」という言葉があります。頭文字のTから始まる3つのクライアントで、この3会社の広告が雑誌に入っていると、その雑誌は「売れている」という証明になります。
その3つとはトヨタ、大正製薬、そして東芝です。
問題なのはこの3つの会社が他の同業種のメーカーが「その雑誌に広告を出すかどうか」の指標になっていることです。
つまり、東芝の広告が入っていない雑誌には他の家電メーカーが広告を出してくれづらいのです。
逆に東芝の広告が入っていると、他の家電メーカーも「お、この雑誌は売れているな」と広告を出してくれやすくなります。
同じく、自動車メーカーはトヨタが指標になっていますし、製薬メーカーは大正製薬が指標になっています。
要するに東芝の広告減少は雑誌の衰退を意味するので、私たち出版社も「対岸の火事」と鼻くそをほじくってケツをかいているわけにはいかないのです。
嗚呼、どうしたらいいのでしょう。
皆で頭を抱えて転げ回っていると、神が哀れに思ったのでしょうか。一筋の光明が差し込んでまいりました。
なんと、東芝の抜けた穴を請け負いたいというクライアントが出てきたのです。
あの高須克弥先生率いる高須クリニックです。
なんでもすでに高須先生はハウスエージェンシー(取引先の広告代理店)を通じてフジテレビと電通に打診中とのこと。
思いがけずの新しい「業界3T」が誕生しようとしているわけです。
しかも出版業界と親しい高須先生のこと。これで出版広告も安泰のように思われます。
日曜日の夕方6時半、高須先生が西原理恵子先生と颯爽とヘリコプターに乗ってアラブ人と仕事をするCMが流れることを切に願っております。