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2019.12.15

【人間模様】様子のおかしい人々

先日、一人で健やかに昼飯を食っていた時のことです。

ちなみに食っていたのはカレーです。

もっと詳しく言えばカツカレーです。

その店は一人用のカンターがないためテーブル席に案内されました。

ゆえに眼前に見えるのは、他の客が食っている姿です。

ふと見ると、私のすぐ目の前にはOL風の若い女性が、やはりカツカレーを食しておりました。

私の元にもカツカレーがやってきます。

芳しい香り、何日も大切に煮込まれたであろうルー、そして肉厚のカツ。もちろん薬味は使い放題です。

美しく磨かれた銀のスプーンでトロトロに煮込まれたカレーをすくう一口目は、まさに至福の瞬間と言えましょう。誰にも邪魔されるわけにはいきません。

するとどうでしょう。一口目を頬ばろうとした刹那、前に座っていたOL風の女が突然、私に向かって喋り出したのです。

私は思わず顔を上げて女の顔を見ます。

女は笑いながら、なおも私に向かって何かを語りかけています。

私は一口目のカレーをすくったスプーンを手に持ったまま、懸命に記憶を辿ります。

しかし、どう考えても知らない人です。

それなのに女は、カレーを口に放り込みながら、しきりに私に向かって話をしています。

しかしながら口に物が入ったまま人に喋りかけるなんて、なんてハシタナイ娘でしょう。

こんな娘、絶対に知り合いではありません。

次の瞬間、私の脳裏に「もうひとつの可能性」が浮かび上がりました。

ヤク中!

知り合いではない以上、この娘は今はやりのMDMAかなんかを食らっているに違いありません。

そう考えると、心なしか娘の目つきが「キマっている」ような気がします。

失敬、失敬、そうでしたか。ヤバイ方でしたか。

そうと決まった以上、女と目を合わせるわけにはいきません。無の境地でカレーを頬張るまでです。集中、集中。

しかし、女は延々と喋ったり笑ったりし続けています。

挙げ句の果てに私がカツを口に入れて目を閉じながら幸福を楽しんでいると「ウケる~」などと言う始末。こうなると、もう味なんてしません。私は早々に店を退散したのでした。

ちなみに女は私が席を立った後も急に爆笑してウエイターさんをビビらせていました。

後日、地下鉄に乗っていた時のことです。

今度は隣に立っていた若い男が急に話始めたのです。

思わず隣を見ると、若い男は深刻そうな顔をしながらこんなことを言っています。

「明日までに10万ないとマジ、ヤバイんだけど」

どうやら私に話しかけているようではないようです。

なぜなら、その視線はまっすぐに目の前に座っている紳士を見つめていたからです。

ギョッとした顔で若い男を見上げる紳士。白昼の、それも公衆の面前で、すわ「カツアゲか!」と思いきや、若い男は今度は天井を向きながら「マジヤバイ、マジヤバイ」とほざいています。

それでようやくわかりました。イヤホンを使って携帯電話で話していたのです。

耳元に携帯電話を当てていないため、完全にヤバイ方だと思ってしまいました。

おそらく、先日「ヤク中」と勘違いした娘も食事をしながら携帯で誰かと喋っていたのでしょう。

そう言えば最近、Bluetoothを使ってイヤホンで会話をしている若者がすごく増えているような気がします。

本人は電話の向こうの相手と話していることにまったく違和感がないようですが、近くにいる人はギョッとします。

つい最近も、若い女性がイヤホン通話で「デキちゃったんだよねぇ」なんて言っていました。何ができたのかはわかりませんが、今時の若い娘はヤバイことでも平気で世間様に公開しているようです。そう言うことは年寄りにとっては心臓に悪いので、会話はきちんと受話器を持ってしていただきたいものです。

文責:編集長原田