佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2020.03.03

第85回「新型コロナウィルス・余談」

パンデミック、人類にとって最も忌むべき言葉のひとつですよね。病気が、感染症が、ひとつの国単位で、あるいは世界中で流行することを指す言葉ですね。そしてこのパンデミックを生む理由に挙げられるのがクラスター=集団感染ですね。“クラスター発生”などと使われています。これまた厄介なことですね。特に今回の新型コロナウィルスにあっては、潜伏期間が12.5日間とか14日間とか言われていて、その間に感染者を中心に集団感染してそれぞれがまた集団にうつしていってしまうとそれこそ鼠算式に患者が増えることになります。感染源がわからない、特効薬がないと言われている新型コロナウィルスはそれでなくても人間に「不安」を一気に拡げることになりますね。そうなるとどうなるか、デマが飛び交いますね。今回も出てきました。最近、僕のところにもラインを通じて友人から送られてきたもっともらしいニセ情報がありました。その全文がこれです。
〈医療機関に勤めている方からコロナウイルスの対策情報いただきました。公私お世話になっている方に共有させて頂きます。是非拡散させてください。自己防衛が最重要です。今回のコロナウィルスは非常に熱に弱いことがわかりました。耐熱性に乏しく、26〜27度の温度で殺傷します。なので、より多くのお湯を飲んでください。
お湯を飲むことはすべてのウィルスのためにも効果的。冷たいものは厳禁です。2月末から3月末はウィルス感染が沢山発生します。外出時も暖かいお茶などをポットで持ち歩いて飲んで下さい。ポットを持って出かけられない時は出先で熱いお湯や白湯を調達して頻繁に飲むように。国の対策が後手後手になってる今、個人それぞれが責任を持って行動し、これ以上広まらないよう、くれぐれも気をつけて下さい! 補足:カテキン入りのお茶と体温より熱いお風呂有効です。カテキンは抗ウイルス作用、お風呂 免疫力高まります。ただしホットショックに注意です。それと、潜伏期間は27日と思っておいてください。民間の研究機関(医科大学)及び海外(アメリカ)からの情報です。福岡の医療機関(医科大学)の方は「検査していないだけで、日本全国に広まってます」「今から検査が始まるので急激に人数が増えます。」隣の人が感染していてもおかしくない状況みたいです。 大事な方にも教えてあげてください。皆さん、気を付けて下さい〉
とまあこんな感じです。
もっともらしい情報で、真面目に訴えているように見えますよね。でも、確かにちょっと冷静に読むと矛盾があります。例えば、“26〜27度の温度で殺傷します。”のくだりです。体温が36,7度なのに26-27度でウィルスを殺傷する、というのはどう考えても変ですよね。それなのに、僕は瞬間本気にしてしまったんですね。なんと愚かなことでしょうか。あとでカミさんや二人の子供たちに笑われちゃいました。カミさんに至っては「まさか家族以外に送ってないでしょうね?」と傷口に塩を塗られちゃいました。
そうなんです、言われるがまま拡散しちゃったんですね。それも、この時期有益な情報だと思っちゃったもんだから、僕にとって大事な人ばかり10人くらいにコピーして送っちゃったんですね。それもご丁寧に、さっき書いた、変だなと思った、“26〜27度の温度で殺傷します。”をカットして・・・。
もうどうしようもないですね。何人もの人から「ありがとうございます」とか「拡散します」とか来ちゃいました。この場を借りてお詫びします。ごめんなさい。でもちょっとだけ言い訳させてください。この“デマ情報”に出てくる、「お湯」とか「カテキン」とか人体に良いもので文章が綴られています。用心しましょう、正しく恐れましょう、といった提言に符合する内容ではありますよね。人体に悪いものでなければ、まぁいいじゃないですか。それにこの発信者、なんだか必死に訴えているようでもあり、本当に一人の医者からそう聞いたかもしれませんしね。いや、本当はそんなことはないと思っていますよ、だけど、それほど罪のない愉快犯と言ったところでしょうかね。でも、これだけの深刻な被害が出ているのもまた事実ですから、やっぱり悪意が無かろうが、罪が無かろうが、デマはいけません。洒落になりませんからね。
挙句の果てに、またトイレットペーパーが無くなっちゃいましたねぇ。こちらは前者に比べてさらに毒のあるデマですね。おかげでこちらもトイレットペーパーを求めてさまよう羽目になっちゃいました。トイレットペーパー騒ぎは直ぐに収束するでしょうが、とにかく落ち着かなくちゃいけませんね。ゆっくり考えましょうね。
学校も休みになっちゃいましたね。卒業式の思い出が消えた生徒さん達は可哀そうです。でもこういうことがきっかけで医者になろうと決意する若者も出てくるかもしれません。是非、そういう人の世であって欲しいですね。日本は清潔で、その上、基本的には真面目な国民ですから、その内、世界中からやっぱり日本ってすごい国だと言われる成果をあげると思いますよ、きっと。誇り高き日本人の皆さん、頑張りましょう!

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使