佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2020.02.20

第83回「新型コロナウィルスは政治も変えるか?」

深刻ですね。新型コロナウイルスで多くの人が亡くなっている、と言われても何の説得力も持たないですね。どっちのほうが沢山の方が亡くなったという話ではないですからね。みんなが不安に思っているのはこの病気の原因がどこからもたらされたものかがはっきりしないからですね。

ワクチンも今急ピッチで模索しているということですが、ちゃんとした治療薬は出来ていません。

一説にはタイでインフルエンザの治療薬とHIVの治療薬を混合させたものを患者に投与したら劇的に直ったという話が出て色めきだったのですが、どうやら幻だったようです。

中国人は2月11日現在で死亡者が1000人を超えたと大騒ぎになっています。湖北省武漢で入院していらっしゃった日本人がおひとり亡くなられましたが、日本にいる日本人は武漢からの帰国者であっても誰一人亡くなった方はいらっしゃらないんですね。このことをベテランのお医者さんに伺ったところ「衛生的に日本と中国では雲泥の差がある。日本は極めて清潔である」との説を述べられていました。

例えば日本では水洗トイレでトイレットペーパーも一緒に流すのは当たり前の話ですが、東南アジアでそれが出来るのはホテルでの使用に限ります。つまり日本は一般的に下水道もしっかりしているという証ですよね。そう言えば蛇口から流れる水道水をそのまま飲める国と言うのは奇跡に近いようですね。ことほど左様に、日本という国は本当に住みよい国だということになります。今回の新型コロナウイルスの感染源は今のところコウモリからヘビ、ヘビから人間に、と見られているんですね。こう聞くといよいよ日本は安全地帯だな、と思うのですが、中国の市場はどうなっているのかと不安に駆られてきます。ほとんど規制されていない、違法な野生生物の取引きもある生きた動物の市場が、ウイルスに野生生物の宿主から人間へとうつる滅多にない機会を与えている(BUSINESS INSIDER 1/28より)、というんですね。武漢の華南海産物市場にはコウモリ、ヘビ、ネズミ、豚、鶏、犬、シベットなどが売られているというんですね。なぜそういうものが売られているかと言うと、食用として価値があり、盛んに売買が行われているというんです。いい加減にしてくれ、と中国に言うのは簡単ですが、こういう動物まで食している中国人の前にあって我々は無力ですね。何を食べようがその国の食習慣をとやかく言うべきではないし、それがその国の食文化であることは間違いないですが、でも少なくともMARSの時にコウモリが元凶だったと学習したはずなんですね。そうであれば最低でも学校で教えるべきですよね。言うならば、“だから今はコウモリを食べちゃいけないんだよ“と繰り返し教えてきていれば、こんなことにはならなかったかもしれない。

もうひとつ言うならば、また出た中国の隠ぺい体質、と憂うべき現実ですね。世界中に知れ渡った中国人医者の逝去。中国人医者が去年の12月あたりにはすでに新型コロナウイルスを発見したと、その貴重な情報をSNSで拡散したんですね。ところがその中国人の医者は「デマを流した」としょっ引かれてしまい、つい最近、新型肺炎に罹り亡くなられました。この医者が国民の間でヒーロー化する中で、中国国民はあちこちで怒っています。そして来日した中国人が中国語で「頑張れ武漢」と書いた垂れ幕に感激していました。「韓国では中国人は睨まれたのに、日本は優しい、大好きです」と言って憚らない中国人がニュースに写しだされていました。

さらには日本から武漢にマスクを送る際に、段ボール箱に書かれた中国語の言葉が話題になりました。こういう時に見直されている日本だと思うと多少なりとも複雑な思いに駆られますが、それでも”日本大好き“と臆面もなく言い切る若者がいると中国への何とも言えぬ不愉快さをもった日本人も減るのではないかと思いましたね。

合わせて、前述した中国人医師の悲劇や、つい最近までの香港の、本国に対してのレジスタンスを見るにつけ、こういうところから一党独裁体制はほころび始めるんだな、とつくづく思いました。この春習近平国家主席が来日する予定の中、新型コロナウイルスで揺れる中国に対してどことなく腰が引けているような外交姿勢を取らざるを得ない日本ではありますが、中国本土で思わぬところから民主化の波が怒涛の様に迫り来る日も、冷静な国際政治の判断としてありうべきと心得て習近平国家主席を歓待するべきではないでしょうか。

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使