佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.11.04

第69回「政治問題を抜きにして日韓で話をしてみたらどうでしょう」

明治維新の直後、もし、日本が日清、日露戦争に負けていたら、日本人の心はどういうものになっていたでしょうか。それだけでも非常に強いコンプレックスを抱き続けることになっていたのではないでしょうか。

韓国は、というと、これまでの歴史で直接戦って、近隣の国に勝ったことがありません。その心情は察して余りあるものがあります。

こういうことを書いただけで、きっと韓国の人は、きっと不愉快になるでしょう。そして、日本に勝ったから今の韓国が存在するんだと、主張するでしょう。1919年3月1日に起こった反日暴動(己未三一運動というもので、韓国ではその日は国の祝日となっている独立宣言の日)が発端で、光復軍を創設し、大韓民国臨時政府が出来たとしているんです。

その後、連合国の一員として日本と戦い独立を勝ち取った、というのが韓国の公にまかり通っている歴史です。読者の皆さんの多くは、そんな話、聞いたこともないでしょうし、何のことやらさっぱりわからないでしょう。

そうなんですね。たった一つの例を出してもこんな具合ですから、日本と韓国が分かり合えるというのは、はっきり言ってかなり難しいんです。

だからといって、韓国の言い分なんか聞かなくていい、という訳ではありません。韓国は韓国で必死なんですね。日本に追いつけ追い越せで一生懸命なんです。相手の立場になってみれば、1910年の韓国併合に始まり1945年までは日本の領土だったわけで、その間どれだけ辛く悔しい思いをしてきたか、想像に難くありません。

もっと古くは豊臣秀吉の朝鮮出兵の時代にまで遡ることもできます。このことは韓国の教科書でも触れられており「日本憎し」で一貫しているんですね。

だから韓国人のインタヴューで見たことがある方も多いと思いますが、徴用工問題でも「日本人は悪かったと認めて詫びて賠償しろ!」と、ずっと言っています。

でも実は、日本は謝罪、賠償、すべてやってきたんですね。

一色正春氏がネットに寄稿している『なぜ韓国は日本を許さないのか』にもこんなことが書かれていました(以下、引用)。

『1965年、日韓基本条約の交渉時に日本政府は未払い賃金等の個人債権は直接個人に対して保証すると提案しましたが、韓国側がそれを断った経緯があるので、条約締結後の個人補償義務は韓国政府にあります。

しかし、韓国政府が意図的に自国民に条約の内容を知らせないでいたため、いまだに多くの韓国民が、その事実を認識していません。

もう一つ付け加えれば、この時、韓国は朝鮮半島を代表する国家として北朝鮮の分も受け取っています。ですから百歩譲って日本が北朝鮮に協力金を支払う義務があるとしても、日朝の国交が開始された時点で支払い義務は日本にではなく韓国にあるのです』

驚きですよね。もちろんこれは時の政権が悪いわけで、一般国民には何の罪もありませんが、こんなことで両者が友好国として発展的に交流が続けられるでしょうか。

もっとも、日本人にしてみれば、韓国人はいつまで戦争のことを引きずっているんだと、腹立たしく思っている人も少なくないでしょう。でも、現代のような自由で、民主的な日本になったのは、第二次世界大戦に負けてからです。それまではというと、日本は今の北朝鮮にも似た様相を呈していたのです。

もちろん、「拉致」などという非人道的なことは、やってきていないと思いますが、軍国主義が跋扈していたことは事実です。

大正デモクラシーなどという言葉が出てきた時代でさえ、社会主義者の大杉栄氏は繰り返し逮捕、拷問を受けていたと言われ、それは『蟹工船』の作家として有名な小林多喜二氏にしても同じで、反戦主義を唱えたとして「不敬罪」に問われ、特別高等警察、いわゆる特高に逮捕され、拷問を受け3日後には変わり果てた姿で無言の帰宅となったのです。

当時の日本はこういう歴史も併せ持っている訳で、韓国人に対して、日韓併合時代、韓国を裕にしてきた半面、どれほどひどい仕打ち、差別をしてきたかは、言うに難くないでしょう。だから、韓国にしてみればいつまで経っても、「恨み晴らさでおくべきか!」となるのですね。

そこへもってきて、貿易上、輸出(日本からみると輸入)手続きで、対象国のうち優遇する国を「ホワイト国」(「Aグループ」と呼称は変更)としていましたが、そこから韓国を除外しましたよね。理由が正当なものであろうが、そんなこと、韓国人にしてみれば、知ったこっちゃないとばかり、感情的な日本製商品の不買運動が起き、日本への観光客が激減していますよね。それでも韓国の方が打撃が大きいとされていますが。

現在、韓国の経済は悪化の一途を辿っているんです。時の政権は、経済が落ち込み政権が危うくなると、“日本が悪い”を直ぐに持ち出して政権の安定をはかろうとするんですね。もうぐちゃぐちゃの日本と韓国の関係、この先どうやって修復していくのか、もう、政治に任せていても殆ど修復は不可能です。

ではどうするか、スーパー民間人の登場です。それしかないでしょう。それは、日本で言うと誰でしょうか?

僕はIPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授しかいらっしゃらないと思うのですが、いかがでしょうか。韓国では誰でしょうか、名前は僕には出てきませんが、きっといらっしゃるでしょう。お互いに相手国に行って、それこそ、品性豊かな、日本人、韓国人が胸襟を開いて、大きなトークショーを開くしかないのではないでしょうか。東京ドームや日本武道館クラスの場所で。そこでは、率直な意見交換が出来るのではないでしょうか。

相手国のことを「盗人猛々しい」と失礼極まりないことを言って憚らない、文在寅大統領の言うことに日本国民の多くは耳を傾けないだろうし、韓国の人も今の日本の民間人に対しては憎しみは無いと言っている訳ですから、ここは、これ以上はいないという民間人に登場いただき、時間はかかるでしょうが、両者のもつれた糸を解きほぐすには、これしか道はないと僕は思うのですが…。

 

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使