佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.09.28

第66回「激甚災害に思うこと」

毎度毎度、同じことが繰り返されています。今回の千葉は日に日に被害規模が膨らんでいっているようです。スーパーボランティアとして流行語大賞の対象者にもなった尾畠春夫さん(彼も間もなく80歳)が何百人いても足らないような状況が何日も続いています。尾畠さんの直近の言動が、大きく伝えられていないのか不思議ですが、9月9日には「令和元年防災功労者防災担当大臣表彰」の表彰式がありましたが、そこには尾畠さんの姿はありませんでした。欠席理由はこうです。

「当日は(大雨被害が出た)佐賀県でボランティア活動をするため出席できない」(産経ニュース 引用)

これを大臣はどう受け止めたのでしょうか。恥ずかしながら僕は防災担当大臣の名前すら知りませんでした。山本順三さんです。9月11日に安倍新内閣が誕生しましたから、山本前大臣にとっては最後の公の仕事だったかもしれませんね。政治家は地位と名誉が大事ですから、山本前大臣にしてみればまさに最後の晴れ舞台だったかもしれません。尾畠さんは地位も名誉も関係なし、被災者の人達が少しでも笑顔を見せてくれたらそれが最高!という人です。大臣とは正反対ですね。結局、表彰状は郵送されるそうです。その程度なんですね。

なぜ、表彰式を延期してでも、大臣自ら佐賀県に赴かなかったんですかね。もう、大臣としてのお勤めも最後だから関係ないですかね。でも9月10日までは防災担当大臣ですからね。防災担当大臣であって、災害担当大臣ではないからですか。台風15号の甚大な被害がでた千葉県にしてもそうです。新防災担当大臣は真っ先に行きましたか? 自衛隊の出動ということもあり、河野太郎新防衛大臣、小泉進次郎新環境大臣は直ぐに現場へ駆けつけていました。

あれあれ、肝心の防災大臣は?

少なくともテレビニュースには防災担当大臣が千葉県に向かったというニュースは、見ていません。大臣の名前は武田良太さん。彼が、もしいまだ千葉県に足を踏み入れていないとすれば、理由にはなりませんが、忙しすぎるのかもしれません。閣僚名簿を見て愕然としました。武田大臣は、国家公安委員会委員長、行政改革担当、国家公務員制度担当、国土強靭化担当、そしてようやく内閣府特命担当大臣として災害担当という役職があります。実に6つの大臣クラスの担当業務をこなしている訳です。こうなってくると政府に対して、同時に、安倍総理に対してややもすると不信感が湧いてきます。

これだけ地球温暖化が叫ばれ、世界中で異常気象が発生していると言われ、島国で地震が多く、台風の通り道の定番になっている日本にあって、災害担当大臣がひとつの独立した大臣職にないということはどういうことなのでしょうか?

ある程度政治家としてキャリアがあれば、片手間にできる仕事だとは、よもや思っていないでしょうね。今までもそうでしたが、今回台風15号による千葉県の被害については、特に、どれもこれも腹が立つことばかりでした。断水、停電は9月9日に台風が上陸してから2週間以上も完全復旧していないんですね。民家に倒れたゴルフ練習場の鉄塔は、誰の責任なんだと、9月22日現在まで、手付かず。鉄塔が屋根にめり込み、倒壊した自宅にいた女性が重傷を負ったと聞いています。誰の責任かはあとでじっくり話せばいいじゃないですか。まずは国、県、市が一体となって原状回復に努めるべきなんじゃないでしょうか。

そして思わず「えっ、ウソでしょ!」と呟いてしまったのが、県の倉庫に非常用の発電機が新品のまま450台用意されていて、その半数の発電機も使用さていなかったんですね。なぜ、そんなことになってしまったのか、言うに事欠いて「町村からの要請がなかった」ときたもんです。頭から湯気が出そうになりました。“お役所仕事”もここまでくれば、もう言葉はありません。挙句の果てに「今後、こういう事態では、役所から率先して県民に知らせるべきかを討議する」と。もう涙が出そうです。

森田知事に至っては県民より役人をかばっているかのような発言。

「市区町村は市区町村で用意しているからね」

こんな国に誰がした、と言いたくもなりますよね。「まさか、そこまでの被害だったとは…」というのは、今の時代言い訳でしかありません。何のために国民の税金を使って防災、減災活動を推し進めているんでしょうか。国民は、それでもなお、ワールドカップ、ラグビーに、大相撲、貴景勝関に、巨人の優勝に、お祭り騒ぎ。それも楽しいことだし、嬉しいことだし、それはそれでいいですが、もっと、行政には怒りをあらわにしましょう。

その反面、千葉県の館山市出身のX JAPANのYOSHIKIさんがさらっと1000万円の寄付をしたとニュースで流れていました。他の芸能人の人達も千葉でコンサートやイベントを行って、県民の皆さんを励ましていました。アーティストの人達だけですね。こういう時に即行動に出る有名人は。日本にだって、無人飛行機(あるいは無人軍用機)はあるでしょう、大型ドローンだってあるでしょう、被害状況がわからなくても、被害状況を知ることは直ぐに出来たはずです。空からいろんな情報を、物資を届ける、ことだってできたでしょう。レオパレスさんのところは自分の会社が倒れそうですか、こういう時に率先して家屋を提供できませんか?ウィークリーマンションは空いていませんか?知恵を絞らなくても、いくらでも手立てがあるように思えてならないですけどね。野党の皆さんも、こういう時に、からきしダメですね。

地球が身勝手な人間に怒っています。その怒りを鎮めるのは、その国のリーダーたちの真剣な施策です。SF小説ではなく、人類の滅亡、それが現実になるかもしれませんね。何でもトランプさんに右へ倣えをしている安倍さん、まさか、地球温暖化まで「あれは、金儲けの為に誰かが企んでいる」というトランプさんの意見に賛同している訳じゃないですよね・・・。

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使