佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.08.10

第60回「れいわ新選組とN国党」

このふたつの党が今回の参議院選挙に新風を吹き込みました。

新選組と聞くとなにやら勇ましくカッコいいイメージではありますが、元々、江戸末期に征夷大将軍を頂く幕府を守るべく警察活動に従事する武装組織が“新選組”ですよね。悪く言うと幕府に逆らう者たちに問答無用で太刀を浴びせ斬殺する国家の用心棒のような存在です。

もちろん、純粋に世直しを考え、消費税廃止を訴え、重度障がい者の舩後(ふなご)靖彦氏(61)と、木村英子(えいこ)氏(54)を国会に送り込んで、政府が目に見える現実として障がい者の生活をより豊かにする政策を講じざるを得ないという立場に立たせた功績は大きく、党の名前にイチャモンをつける気などさらさらありません。

ただ、聞けばSNSなどの発信によって若者の有権者にも相当な人気があるという党代表の山本太郎氏を新選組長とするならば、その若者たちが「新選組」を間違った解釈でとらえることになるのはいかがなものかと思う次第なのです。

そんなことどうでもいいという人達もいるでしょうが、今や若い人たちに対する影響力大の山本代表率いる、れいわ新選組ですからそのあたりも十分考慮してもらいたいものです。

そして一方のNHKから国民を守る党、つまりN国党、これまた党代表の立花孝志氏(52)が当選し国政の場に立つことになり、世間はビックリ。

ご本人も言っていましたがYouTubeなどを見るといささかふざけた様子で、NHK受信料を払わなくて済む方法などを話しているんですね。

なかには300万回以上視聴されているものもあり、視聴者を引き付けるために取った方法だったということです。

最初は僕も杉村太蔵氏ではないですが、あまり関わり合いを持ちたくない方だと思っていましたが、AbemaTVを見てすっかりその気持ちが変わりました。たいそうまともなのです。大真面目にNHKとの向き合い方、あるべきNHKの姿を模索していらっしゃるんですね。一律的に受信料を徴収するのではなく、いわゆるスクランブル放送という形態を取るべきだと主張していました。

僕が見た限りのAbemaTVのコメンテーター、政治家、他出演者の皆さんは、どちらかというと立花さんに冷ややかな感じで、ひとりの女性コメンテーターなどは腕組みをしてあきらかに上から目線で彼にものを言っていましたが、どんな質問にも誠実に正直に答えていましたし、考え方の違いこそあれ、それは全くおかしい、という内容のことは一切言っていませんでしたね。

どちらかというと、出演者の皆さんの方に、なにか少しイジワルな雰囲気が感じられて、何か答えに窮するような質問をしてやろうという感じでしたが、おかげで、どんな質問にも窮することなく政治家になって何をやりたいかしっかりこれまで考えていたということがわかりやすく視聴者に伝わり立花さんの印象がすこぶる良くなりました。

ワンイシューの政治家というと聞こえは良いが、NHK以外のことは何もやらない政治家という事にもなる”と、他のTVで言っていましたが、彼は自分の考えで立法府に籍をおくのではなく、全てをインターネットで意見を集約してその多数意見に従って、挙手する、と言っていました。なるほど、知識も知恵もない暴論の政治家さんなどは、参考にするのも悪くないかもしれませんね。

もっとも僕は少しその意見と違う考え方をしていますが。それとワンイシューの政治家というのは、あながち捨てたものではなく、だらしない野党というレッテルを貼られるくらいなら、どこどこの党は、憲法に強い、とか税制にめっぽう強いとかあっても良いのかもしれません。むしろその方が国民の役に立つし、わかりやすいかもしれませんね。

ただNHKの「日曜討論」に出演したいからと言って党の国会議員をなんとか5人にしたいと、何でもありの国会議員勧誘は止めましょう。あれは命取りになりますよ。ご本人もTVに出ていて感じたと思いますが、それでなくても党名からして世間の風当たりは強いのですから、“背に腹”方式のN国党国会議員頭数集めは自分で自分の首を絞めることになりますよ。

当初はドラマや劇画にしか出てこないような、奇を衒った感の強いイメージだった二つの党でしたが、どうしてどうして、既成政党にはない、新鮮で真摯で前向き、有権者が珍しく国会中継を見たくなるようなおふた方、いや、山本さんは落選していましたが、船後氏や木村氏の議員投票や発言の際にサポート、代理として登場するんでしょうかね? 国民にしかしがらみがない政党が自民党、安倍さん、NHK会長などをやり込めるシーンを早く見たいですね。

それにしても世の中、確実にネット社会、SNS社会になってきました。

あっ、それから山本さん、もう天皇陛下に手紙を直接渡すのは止めてくださいね。

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使