佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.07.22

第57回「お得感!?」

映画『アベンジャーズ』を観てきました。

現在日本での興行収入が50億円を突破し、2019年5月20日現在、全世界の興収が26.15億ドル(1㌦109円として約2650億円)で、これまでの興収で1位の「アバター」(27.88億ドル)に迫る勢いだということです。

このところ『ボヘミアン・ラプソディ』や『グリーンブック』、『運び屋』と心の機微を描いた映画を観ていましたが、今回は、頭を空っぽにして楽しめるディズニー映画でした。

IMAX3Dスクリーンとかで、映画館が用意したメガネをかけて映像が立体的に飛び出して見えて、大画面で迫力満点。しかもスペシャルシートで初めて観ました。

でも今日は、映画の内容の話ではなくて、オンラインでチケット購入すると「得した気分になれる!?」というお話。

映画館のスタッフの口車に乗せられ、ついつい1000円で購入してしまった、Cinema point cardなのですが、スタッフの話だと「このカードがあれば一般の方の通常料金は1800円ですが1100円で観られます」というのです。

そんな触れ込みで、料金表を見るとシニアの方:1100円となっていました。別にこのカードがなくても自分は64歳、堂々のシニア料金で、カード必要なし、とその場を立ち去ろうとしたんです。

そしたら、そのスタッフがかぶせるように「エグゼクティブシートが通常料金で観られます」と言うではありませんか。これは聞き捨てなりません。飛行機のファーストクラスと同じで、一生その席に座ることはないと思っていたのですが、それならば、話は別です。

「カード購入と同時に3ポイント付きます、これが6ポイントになると1本映画を無料で観られます。1本映画を観る毎に1ポイントです。期間は半年です」

得なのか得でないのか、微妙なポイントサービスに、本当はじっくり考えたいところなのですが、カウンターに人は並んでいるし、そうも言っていられないんですね。太っ腹を装い、「あっ、そう」と気にも留めない振りをして、『アベンジャーズ』を観るまで後生大事にこのカードを持っていました。

そしていよいよこのカードを使う日がやってきたのです。エグゼクティブシートに座って1100円は悪くないですからね。オンラインシステムで、ID番号を入れてパスワードを入れて、座席を決めて、ではクレジット払いで1100円支払い、する段になって、料金を確認すると、『あれまっ?』1900円と出るじゃないですか。これはどういうこと、と問い合わせると、IMAX(いわゆる大型スクリーン)上映はシニアのお客様で1900円なんです、との答え、やっぱりねぇ、そんなに甘くないんです。

でも、こうなりゃ、エグゼティブシートに座れなきゃ、何の意味もない。問い合わせ先の電話からは、若い女性の声で「IMAX上映のエグゼクティブシート、通常は3300円ですよ」と言われ、有難いと思わなくちゃいけないような雰囲気で思わず「ああ、そりゃどうもどうも」と答えてオンラインで支払おうとすると、手続きに時間がかかり過ぎで、やり直し。もう情けない気分でもう一度やっと1900円支払いの画面に、そしたら今度はR Payと出ています。楽天会員のカード払いなんですね。どうなるかわからないまま、そこをタップすると、期限間近の59ポイントを合わせて1758ポイントありますと出ました。今回のチケット購入で初めて得した気分になったんですね。

でもこれって楽天カードで買い物をしてリボ払いで付いたポイントという訳ですから、それほど喜ぶものではないんでしょうが、期せずしてこういう時にポイントが生かせると、さも、残りの現金142円で映画を1本観た気分になれるから不思議なものです。業者の思惑通りになっちゃうんですね。

そして、画面上で不足分の142円は一括払いですか?と尋ねてきます。この金額を分割にする方が難しいだろう!とぶつくさ言いながら、ようやくチケット購入を果たしたのです。これで準備万端、と思いきや予約番号の入ったバーコード画面をコピーして映画館にお持ちください、とのこと。こうなると、映画1本観るのも「仕事」のようです。若い人ならこんな作業、何でもないのでしょうが、こちとら映画館に足を運ぶ前にぐったり。映画館に行って自動発券機にバーコードをかざして発券されたときは、なんだかちょっとした達成感がありました。

そして憧れのエグゼクティブシートに座ろうと目をやるとそれはそれは豪華なシート、クッションまで用意されていて黒の皮張り幅広シート、が目に入りました。どこからその席に行けばよいのかわからずに係員に尋ねると「ああ、あれはグランド・エグゼクティブシートで、6300円です」だと。口先では「ああ、そう」と言って追従笑いを浮かべてそれよりはランクが落ちる、しかし、一般シートに比べるとはるかに座り心地の良い、シートに、ようやく、ようやくたどり着いたのでした。座って足が伸ばせる、隣の人と肘が当たらない、イイ感じ。映画を観る前にひと仕事、終えた感じでした。こういう時はビールをグイっとやったらたまらないだろうなぁ、と思った途端、隣にどっかと座った男性が生ビールをごくり! 思わず目で追ってしまったのでした。お得な!?、シネマ ポイントカードの巻、でした。

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使