佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.04.29

第50回 「仲良くしようよ」は現代に通用するか

その昔、と言っても昭和ではないですね。平成時代に入ってのことですが、僕がまだテレビ朝日の局アナだった頃です。『ワイドスクランブル』って言う番組、今でもありますが、そのゲストコメンテーターで萩本欽一さんがお見えになりました。

で、その頃、【尖閣諸島問題】がかまびすしく言われていました。ですから当然、番組でもそのことが冒頭で取り上げられたんですね。

司会者から「どう思いますか?」と振られた欽ちゃん、開口一番「仲良くしようよ!」とあの独特のやや高い声で、まさに声高に叫んだんですね。意表を突く、それでいて核心を突くその一言で、スタジオにいた全員があらためて気づかされたんです。「そう、そうなんだよなぁ。そういうことなんだよなあ」って。

でも、そんな簡単な、小学生でもわかる一言が国際社会には、大人社会には出来ないんですね。簡単ではなく大変難しい事なんですね。

しかも、国際社会は、日本のように甘くないんですね。中国も、韓国もロシアもヨーロッパも食うか食われるか、弱肉強食の中で生き残ってきた国々なんですね。日本はと言えば、1945年に敗戦するまでは、基本的に一切領土が侵されることがなかったんですね。だから、国土サバイバルがどうしてもピンとこないんですね、きっと。

「何で、中国は尖閣諸島は我々のものだ、って無茶言うんだろう、何で韓国は竹島(韓国では独島)は我々のものだって言うんだろう、何でロシアは北方四島を我々のものだって言うんだろう」と当事者以外はあまり緊張感なく呑気にかまえているんですね。

諸外国は土地でも領海でも、常に何でも我々のものだって主張しておかないと、気が付いたら乗っ取られているということを経験しているからなんですね。だからその危機感は半端なものではないんですね。“隙あらば”というのが国際社会では常識のようです。

その実、アメリカの51番目の州が日本だと言われても、一応、独立国家として認められ、経済成長も遂げてきた日本は、きっと諸外国から一目置かれている、などと“のほほん”と、考えているんじゃないでしょうか。

でも安穏としている場合じゃないですよね。どの国もニッポンって、結構、どうにでもなるんじゃないかと襲いかかってきているんですね。最後の世界大戦に負けたから尚更、強硬ですよね。それが証拠に例えば北海道の中国人所有の土地の割合のなんと多い事か!

産経新聞編集委員の宮本雅史さん(「爆買いされる日本の領土」角川新書刊)によると東京ドーム515個分の水源地が中国資本の手に渡っているそうです。広さにして7万ヘクタール、およそ山手線内側の面積の11倍の土地がすでに中国人によって買収されているということになるということです。まさに“武器を持たない戦争”と言われ、それだけ侵略されていると言っても過言ではありません。それを規制する政令がひとつもないというのは、恐ろしいことです。官僚などに言わせると「外国人土地法で“その外国人・外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を政令によってかけることができる”となっているから、いざとなれば大丈夫」とうそぶいているとか。

何か問題が発生した時に、こんな大正14年に制定された法律が生き生きと現代に蘇るとは思えません。それに日本人よりはるかにしたたかな外国人が、そんなことを言われたからと、おめおめと引き下がるとも思えません。今や、統計の問題より、モリカケ問題より優先順位が高いのではないでしょうか。《日本への北朝鮮の脅威》と同等の扱いで論議しないと、日本が中国の32番目の省になるというのがフィクションでなくなるかもしれません。

欽ちゃんが尖閣の問題で「仲良くしようよ!」と言ったのはその通りだと思います。しかし、政治家の皆さんは筋の通った正論だけ言っていれば、これからの日本が国際社会で生き残っていけるとお考えですか? 「国民の為に働きます!」と選挙のたびに口にする「国民」って、どこの国の人達を指して言っているんでしょうか?

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使