佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.03.25

第46回 手をポケットに入れる時ってどんな時

小池百合子都知事、またやっちゃっいました。3月3日、東京は最低気温が3.2度でした。東京マラソンの表彰式という晴れ舞台で、寒かったというのもあったんでしょうが、両手をポケットの中に入れていたんですね。

このニュースを聞いたときに、僕は1993年、彼女が初めて衆議院議員選挙に臨んだ時のことを思い出しました。当時は選挙区も旧兵庫2区で、ここは“おたかさん”の愛称で親しまれていた故土井たかこさんが盤石の地盤をもっていました。そこへ日本新党(この選挙の後、党首の細川護熙氏は首相となる)として、小池さんは出生地が兵庫県芦屋市なんで、ふるさとから打って出たんですね。

小池さんと土井さんの対決はマスコミで“マドンナ戦争”などと当時言われていました。僕は小池さんの密着取材をしました。選挙初日、真っ白なスーツといういでたちで、さすが元テレビキャスターの小池さん、まばゆいばかりでした。ところが来る日も来る日も白いスーツ姿でした。

そりゃ、小池さんが着ようが誰が着ようが、毎日着用していたら白いスーツもくすんできますよね。それでも小池さんはお構いなしだったんです。

そう、選挙での作戦のひとつだったんですね。有権者に「なりふり構わず、戦っています」という印象を与える効果を狙ってのことだったんですね。

そして選挙中盤からは足を痛めて松葉杖をついて歩いていました。見目麗しい女性の涙ぐましい選挙戦。知名度とこれらのいでたちを合わせれば同情票も絡めて選挙半ばにしてすでに当確の雰囲気でした。どぶ板選挙と銘打った彼女の選挙戦、メガホン片手に路地から路地へ精力的に歩いて政策を訴えていました。

ところが、僕はこの時見てはいけないものを見てしまったのです。

それは、メガホンを持つ手と反対の手がポケットの中だったんですね。もうビックリ。彼女におべんちゃらを言うために取材している訳ではないので、少しためらいましたが、カメラマンさんに「シューティング!シューティング!」と叫んで、撮ってもらいました。

人が手をポケットに入れる時ってどんな心持の時でしょうか。プライベートで誰にも不快な気持ちを与えない環境の中で、ひたすら寒い時。また、ちょっと威張った生意気な気持ちになっている時もそうですね。

つまり本人の意識では余裕があって、ツッパッテいる時ですね。

不良がよく手をポケットに突っ込んでいますね。先日北朝鮮の金正恩委員長が国民の前に姿を現した時、やはり手はポケットの中でした。彼の場合、完全に国民を見下している風がその様子から見て取れました。

いずれにしても何かに真剣に取り組んでいる時には、人は手をポケットの中には入れませんね。となると、小池さんも、寒いから手がポケットの中だったのか、というとそれだけではなかったのかなと、うがった見方をしてしまいます。

でも、選挙のさなか、ポケットに手を突っ込んでいるというのは、ここまで述べてきた理由からではないと信じたいですね。そうすると、あれは何だったのか、クセなんでしょうね。思わず手をポケットの中に入れちゃうんですね。そうでないと、用意周到な彼女が公衆の面前で、それもマスコミが大挙しての東京マラソンの表彰式で手をポケットに入れるわけがありませんよね。選挙にも東京マラソンにも真摯な姿勢で臨んでいなかった、などと言うつもりはサラサラありません。“人のふり見て…”ですから僕も気を付けなければ、とつくづく思います。僕には手をポケットに入れるクセはありませんが、すぐ腕を組むクセがあります。それも真剣に人の話を聞くときに腕を組んだりしてしまいます。生意気に見られちゃいますよね。「貧乏ゆすり」や「手の指の骨を鳴らす」なども気を付けなければいけないクセですね。“無くて七癖”って言いますもんね。

「李下冠を正さず」に通じるクセって、誤解を招く原因にもなるわけで、これはあえて、人の目を気にして直すとしましょう。可愛い女性が小首をかしげる、そんなクセは大いに歓迎ですが。

ちなみに小池さんは定数5人のところ、土井さんに次いで2位当選でした。やっぱり余裕だったんでしょうかね…。今回は小池さんにはちょっと細かいイジワルな記事になっちゃったかもしれませんが、いずれにしても、人にはなんでクセって、あるんでしょうね。考えちゃいます、ね。

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使