佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2019.03.11

第44回 国民投票って民意なのでしょうか

ここ最近は何かと米朝問題が取り沙汰されていますが、3月末はヨーロッパでも大きな問題が起こりそうです。イギリスがEUから離脱するからです。という「合意なき離脱」が延期という話も一方で出ていますね。もうグチャグチャです。

それだけにイギリスのEU離脱問題に絡んで、【ブレグジット】とか言われると、「何、それっ?」って気にはなりますよね。(BRITAIN(英国)とEXIT(退出)を掛け合わせた造語ですね)

2016年に国民投票で決めたイギリスのEU離脱、いわゆるブレグジットは、何を今さら、という感じで、さっさとユーロ圏とは一線を引いて自分達で自主独立の道を歩めばいいのに、と思っている人達も少なくないようです。この混乱の源は何処にあって、誰に責任があるのって考えた時に、単純に考えれば、イギリス国民じゃないのと思いますよね。

でも、ようく考えると、キャメロン前首相と保守党の思惑のようです。

というのも、2010年、13年ぶりに政権に就いた保守党でしたが、まだまだ盤石ではなく、15年の総選挙を経て議席数を伸ばし、これを機に保守党を揺るぎないものにしようと考えたようです。

そこで、EUに対して強きに臨む態度を見せつけ国民のガス抜きを図ろうとした、というのがホンネのようです。

ところがそれが裏目に出てEU離脱の機運が盛り上がってきたんですね。それが良かったかどうかは別にして、国民は保守党に、キャメロン首相に悪く言うと惑わされたんですね。政権とはそんなものかもしれませんが、政治のプロではない国民が、一国の前後左右を考えて、上下まで考えてEU離脱かどうか、なんて考えられませんよねぇ、どこの国だって。選挙権も被選挙権も18歳から、という進歩的な、それでいて保守本流のイギリスがこれですから、やっぱり、国民に判断を委ねるというのは、一見民主主義のようですが、ちょっと違うんですね、きっと。

ぶっちゃけ言うとそんなに勉強している人ばかりじゃないでしょ。

そういうことがわかっていながら、その国民を出汁に使おうなんて、とんでもないですよね。だから天に唾する形でキャメロン首相は辞任しましたよね。見方を変えれば自業自得ということになりますかね。

それでも、国民投票の結果を重んじて、保守党党首にして首相のメイ氏は、“離脱延期”かなんて言われながらも、満身創痍でいずれ離脱に現在のところ舵を切っていますよね。国民の危うさを知っていてメイ首相は、そう決断しているんじゃないかと思うんですけどね。うがった見方をすれば、国民に責任を感じさせ、一方でEUに残留するという腹かもしれません。ここで選択を誤りイギリスが不況になったらヨーロッパも不況に陥ります。世界中に影響しますよね。いまや、経済は世界が繋がっていますから。現にトヨタ、日産といったところはイギリスから手を引くことになっちゃいましたからね。

こうやって考えると、国民投票というのはめったなことでは抜いてはいけない伝家の宝刀なのかもしれません。

イギリスの国民投票は51%が離脱賛成、49%が離脱反対となりました。僅差で結果が出た場合、国が分断されいがみ合うといったことになりかねませんよね。そういったことをよくよく考えて国民投票に踏み切ったのでしょうか。

そもそも国民投票であろうが県民投票であろうが、国民や県民に安易に意見を委ねる姿勢はあまり愉快なことではありませんね。それこそ為政者の姿勢が問われかねないですね。何のために選挙で選んだ政治家なのかわからなくなります。

国民投票と言えば日本ではこのままいけば、憲法改正という大きな大きな国民投票があることになります。早ければ来年、行われる可能性が少なからずあります。憲法改正にちなんだ国民投票は、個人の気まぐれな思惑でも、組織の為でもなく、法的根拠のある投票です。でもこのまま憲法改正の為の国民投票をやるのはいけません。なぜなら何となく、というムードに国民は流されやすいからです。もっと、日本の領土のことや、日本という国の国体について勉強してからでないと・・・。恐ろしい限りです。

 

 

 

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使