佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2018.12.17

第39回 2018流行語大賞

2017年の流行語大賞って覚えていますか? 僕は調べるまで全く思い出せずじまいでした。そうなんですね。「インスタ映え」「忖度」だったんですね。このコラムにも書いた「アウフヘーベン」という言葉も30のノミネートされた言葉のひとつでした。恥ずかしながら、この流行語大賞のおかげで哲学的用語でもある「アウフヘーベン」の意味がよくわかったんですけどね。

さて、2018年は、どんな言葉が飛び出すのでしょうか? 言葉だけではなく人物も登場していますね。例えば“ひょっこりはん”、この芸人さん、そんなに面白いのか、僕にはよくわかりません。教えている駒沢女子大学の講義で流行語大賞の分析をしたのですが、2割程度の学生さんが“ひょっこりはん”を見て笑っていました(現代の大学の教室は当たり前のようにYouTubeなどの映像もスクリーンに映し出せますからね)。ただし、女子大生は、“箸が転んでもおかしい年頃”という言葉があるように、ちょっとしたことでよく笑ってくれますよね。彼らの感想には、「あまり面白くはないけれどそれでも、もう一度見て見たくなる」というのもありました。それでも、芸人さんにしてみれば女性は、まさに笑いの女神の様な有難い存在でしょう。

さてそんな彼女たち(といっても数十人ですが)の選んだ流行語大賞、まぁその中には好きな言葉、人物も含まれているんですが、1位になったのはTiktokというSNSでした。たった10秒ほどの時間内で歌あり、パフォーマンスあり、コントあり、動物あり、まぁ色とりどりですね。その10秒ほどの時間でクスっと笑わせる出し物もあり、で大したものです。その場では面白かったり楽しかったりしますが、次の行動に移るとその前が、あまりにも軽い10秒なのでいずれすっかり忘れてしまいます。それでも印象に残っているものが次の、ひっぱりだこになるんでしょうね。そうそう、一つ疑問です、先に行っちゃって、もう一度戻して見たいときにはどうしたらいいのかどなたか教えてくれますか?そんなこと若い人には、関係ないんでしょうか?

声や音楽などを含めた音、映像、画像、をどう組み合わせるかのアイデアで、新たなSNSが生まれます。若い人たちが自由という空間を楽しんでいるのが感じられます。思想や主張といったものは一切登場しません。ザッツエンターテインメントです。一方で、ルール無しの無法地帯にならなければいいのですが。無条件で楽しめないのがオヤジなのかもしれませんね。

ただ、こういうものを通してどうやったら見られるのかとか、を若い人に聞いているとそこから会話が生まれることもあろうかと。「そんなモノ、興味ないよ」と言い張らずに、ちょっと覗いてみると案外トリコになっちゃったりしますよ。

まず、アイドルに勝るとも劣らないこんなにかわいい子がわんさかいるのに驚かされます。それでも、どうも馴染めないという方には、これも女子大生の間で当然のように人気の流行語大賞ノミネート語のひとつだった、ダサかっこいい/U.S.A.はいかがでしょうか? 1度や2度は耳にしたことはありますよね。DA PUMPの皆さんが踊って歌っています。流行語大賞にノミネートされたのは、このダンスがダサいけどかっこいいという事なんですね。どこがダサいのか僕にはちっとも理解できないところではあるのですが、僕らの世代でもシンパシーを感じるというのは、きっとそれ自体が“ダサい”ということなのでしょうね。とにかく117,000,000回以上この曲は視聴されているんです。

ほぼ日本人の総人口に匹敵するというから“アラマッチョロゲ!”です。この“アラマッチョロゲ”という言葉は僕の造語で“あらまぁ、ビックリ!”というくらいの意味です。どこかオフィシャルな場面で言いたかったのですが、「快活60」の読者の皆さんに初めて披露出来て良かったです。あんまり気にしないでください。で、この曲を聞いているうちに昔懐かし、亡くなった西城秀樹さんの「YOUNG MAN」を思い出しました。早速YouTubeで検索してみるとこれまた懐かし、井上順さんと吉村真理さん司会の「夜のヒットスタジオ」で歌っている西城秀樹さんに出くわしました。あの「YMCA(ワーイ エム シエ)」、観客全員が宗教の儀式のように、手や腕でそれぞれのローマ字をヒデキにあわせて作るんですね。これがやたら盛り上がるんですね。それこそ“ダサかっこいい”の元祖ですね。一人で歌を聞きながら動きもやっちゃいました。我ながらちょっと不気味ですね。昔、取材に行くとヒデキが教祖みたいで彼の言う事なら何でも聞いちゃう!みたいな空気が流れていて、何万人ものファンがYMCAとやるのは圧巻でしたが、暴動になっても不思議はないようなそんな雰囲気でした。新御三家スターヒデキでしたね。

そんなこんなで、いつもの調べ癖から「Y.M.C.A.」をWikipediaで検索したんです。意味はキリスト教主義に立ち、教育、スポーツ、福祉、文化などの分野でさまざまな事業を展開する150年以上の歴史をもつ立派な組織、キリスト教青年会を指す言葉なんですね。その一方で、この曲の原曲「YMCA」のメンバーもそうだと言われているんですが、キリスト教青年会の、主に男性が相部屋で泊まる宿泊所もY.M.C.A.というそうでゲイの人達のスラングにもなっているというんですね。キリスト教の方々は目くじら立てないでくださいね、一部でそういう風にも使われている、という事実があったというだけですから。勿論、僕は前述したようにちゃんと理解しているつもりです。要するに、日本でリリースされた1979年2月以来、みんなで「YMCA(ワーイ エム シエ)と喜んでやってましたが、一部のアメリカ人は変なの、と思っていたかもしれませんね。もっとも、本来の意味から奉仕の精神も賛美されたからこそ、アメリカでも大ヒットなったんでしょうけどね。

読者の皆さんと一緒に年末景気づけに一丁「YMCA(ワーイ エム シエ)」やりますか!

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使