佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2018.03.12

第16回 50歳から住みたい街

50代から住みたい街ナンバーワン。それは我がふるさと北九州市(福岡県)だったのです!

嬉しいですね。わが故郷がこういうふうに言われるのは。

もちろん、勝手に言っているのではなくて、2016年7月に出版された雑誌でのアンケート結果で大々的に取り上げられたんですね。

そんな昔の話を何で今さら、取り上げるんだ、とお叱りを受けそうですが、実は我が北九州市の人気は50代以上だけではないんですね。全世代(総合)でも1位なんです。

そんなこんながジワッ、ジワッと効いてきて一大観光ツアーが盛んになってきているんです。2泊3日で4万円から5万円が相場ですかね。今やもう北橋健司北九州市長は、何処へ行ってもその話をするんです。今のニッポン、65歳以上の人口が3,500万人という中で、その予備軍の人達に人気があると知ったものだから市長は嬉しくて仕方がないんですね。

「若い人達にも人気の街になれば言うことないんですけどね」と言いながらも今年65歳を迎えるにしてはお若い市長の顔がほころんでいらっしゃいました。

特に自分が何をやったわけでもないのですが、北九州市の観光大使の僕としても殊の外嬉しいのです。

さて、では選ばれた理由は何ですか、と聞かれると世界遺産があるから、水がキレイになったから、などとややピンボケの答えしか用意できないんです。情けないですね、これじゃあ、観光大使が泣きますね。

そこで、北九州市役所の「企画調整局 地方創生推進室」という「東京特許許可局」に勝るとも劣らない早口言葉の練習に使えそうな名称の部署に話を聞きました。

ところが、これがまた取材泣かせなんですね。

「ああ、選ばれた理由ですか、程よく都会で程よく田舎なんじゃないですか」

こんな答えが返ってきました。確かに自分も高校3年生まで住んでいた場所ですから、土地柄的にこんな答えが返ってくることも理解できるんですね。良く言えばおおらか、悪く言えば適当なところが北九州市にはあるんです。

いまだに商売をやっている友達同士などは「牛乳もっていかんね」「そうやったら大根持っていきよる」、と仮想通貨、AI,IOTの時代に物々交換をやっているんです。100万都市(正確には2015年調べで96.13万人)の風景じゃないですよね。

でも、逆に言うとそのアナログさが50代以上の人達には安らげることになるのかもしれないですね。

もちろん、真面目に話せば医療、介護が充実していて病床などにも余裕があるんです。病院の数も多く心臓カテーテルの治療などでも有名な小倉記念病院、市立医療センター、製鉄記念病院、済生会病院など立派で頼りになる病院が数多ありますね。療養型病院も散見され、下手な老人ホームは顔負けです。プロの看護師さんが24時間介護でついてお風呂にも入れてもらって食事も勿論三度三度ついて5,6、万円と聞くと思わず「ウッソー」と言いたくなりますよね。時勢に押されて全国的にはこういう施設は少なくなってきていますが、本音で言うと本人も家族も助かるに決まっています。食べ物はと言えば海、山が近く魚はうまいし、肉もいけます。博多や北九州市に来て、食べ物がまずいと言った人を聞いたことがありません。

因みに全国ランクで引けを取らないお寿司屋さんが「天寿司」「もり田」「二鶴(にかく)」の三大鮨名店ですね。個人的に言うと高校で柔道部からの帰り、必ず寄っていたのがうどんやさん、通称“白のれん”の「はるや」、3杯食べていなりずしまでほうばっていたのが忘れられません。観光コースでは行かない地元自慢の「うまかっちゃ」も名店ですね。

あと、物価が安く、不動産も背伸びしなくても戸建てに手が届きますね。

あっ、そうそう、東京ではありませんが、水も美味しいんです。加えて水の浄化は北九州市の十八番です。小倉を流れる紫川は、昔はどぶ川だったんですが、今やアユが泳いでいます

信じられないその技術力、もちろん地元の人たちが「汚すまい、我が町の紫川」と頑張った成果でもありますけどね。

しかも、その水の浄化技術をベトナムやカンボジアなどに輸出することによって、高齢者から得られない税金をカバーしての市の財源に充てているというからたいしたモンですね。

観光のほうは、もうおなじみですね。官営八幡製鐵所旧本事務所がその歴史上の意義からも、世界遺産になっています。門司港レトロもコンパクトに時代がまとまっていて近くの雰囲気のある建物で地ビールを飲みながら、目でも舌でもご満悦という按配です。バナナのたたき売り発祥の地なんていうのもありますね。

今は無き半世紀近く前の隠れた名所ということでは、僕が高校の時分、小倉の街にはゴシックかバロックかわからない、でも西洋建築の趣のある建物がひときわ目を引いていました。そこには大きく『室町劇場』と浮き出た文字が縁どられていました。

実はストリップ劇場だったんですね。高校を停学になっても中をのぞいておけば良かったなと今さらながら思うのであります。もう健全な北九州市には跡形もないと思ったら小倉駅の前には『A級小倉劇場』なるストリップ劇場があるんですって。地方創生推進室の方が教えてくれたのです。「政令都市では駅前にストリップ劇場があるのは珍しいんですよ」と自慢してたのが何とも微笑ましい限りでした。

小倉は政府も推進する「生涯活躍のまち構想」によって選ばれた街でもあるんですね。50歳以上の方で元管理職の人が移り住むなら、市が率先して仕事を探すセカンドキャリア推進制度もあり、ハローワークシニア制度もありと生活を考える人にも充実した制度があります。

まだまだ街の魅力を挙げればきりがない、頑張りたい人にも、頑張りたくない人にも優しい街、それが北九州市ですね。

あっ、あの“工藤”さんって怖い人がいると思っている方、心配には及びません。現在は治安もいいですから。ひと昔前は駐車場でベンツの駐車が断られるという時代がありました。「医者かやくざかわからんけね」と言っていたのをかすかに覚えていますが、今は昔の話です。

これ、コラムの最後に書く言葉じゃないですよね。整えておきましょう、ああ、帰りたくりました。ふるさとの友と一献……。(これ、本心です)

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使