佐々木正洋のいまさら聞けない一般常識 ベテランアナがやさしく解説

2017.12.26

第9回 電話野郎

私、“電話野郎”でございます。

最近、この“電話野郎”という言葉が巷で流行っています。これ、ちょっと前に世の中に出てきていたら流行語大賞候補くらいまではなっていたでしょうね。
早い話が“電話は突然他人の人生にカットインしてくる”ということで嫌われているというもの。

もう少し言うと「電話する」というのは【リアルタイムに・相手の時間を奪う行為で、相手の時間や行動を拘束・制限する行為だということ】(サイト「はてな匿名ダイアリー」より)。

そう、僕も同じようなことを若い時には思ったものです。

しかし、それは最近憎まれている“電話”とは少し違うんですね。僕らの世代が若い時分に思ったことでいうと、『こちらが大事な話をこの人としているのに、なぜ順番も無視して割り込んでくるの』というような憤慨でした。
でも今は違うようです。『自分の生活が大事なのに、なんでどうでもいい話で邪魔するの』といった感じです。

電話する人間は無能な人間が多いとまで言い切っているんですね。困ったものですね、こういった了見の狭い人たちが今のニッポンを跋扈しているんです。だから会話がつまらなく平坦で奥行きがないんですね。粋がりもしない、怒りもしない、本当の意味の優しさも礼儀も謙虚さもない人達が、こんなことでしか、世の中に抗えないんですね。僕なんかはそう思っちゃいますね。

先日、日馬富士暴行事件で相撲協会のオジサンたちが貴乃花親方の元へ書類を届けに来ていました。

そうしたらインターホン越しに若い女性の声で「わざわざいらっしゃらなくてもファックスで良かったのに」ときたんですね。僕は飲んでいたお茶を吹き出しそうになっちゃいました。

その女性に常識がないんだな、と一笑に付していたら、今度はこともあろうに貴乃花親方が大事な文書を相撲協会にファックスで送ったと報じられました。アウトですね。相撲道を貫く以前の問題です。そんな人に改革は無理です。
暴力は絶対にダメです。でも貴ノ岩関も微妙な時間に携帯見ちゃダメです。角界の改革に乗り出そうとしている親方の弟子がこんなんじゃ、先が見えているでしょ。ふんぞり返っていても改革なんてできません

話が横道にそれちゃいましたが、それちゃってもいいですよね。最近ホント変ですよね。でも、そのホントに変なところはマスコミはつつかない、時流に乗ってウケが良ければそれでいい、みたいな。

このあいだ、「サンデーモーニング」で関口さんが強い選手が勝っていたのを見て「当然ですかね」と張本さんに振った、すると張本さんが「当然じゃない、順当ですよ」と、さらに「スポーツに当然はないんです」と言葉を訂正しました。僕は、さすがだな、と感心しました。これが言葉ですね。そんな言葉を大事にして話すのが本来電話です。気持ちも伝えたいときにメールでは伝わらない事だってたくさんあります。大手広告代理店の中堅どころの人で部下に電話をしたら「それってメールとかで言ってくれませんか、電話じゃなきゃダメですか」と言われたと言っていました。

その人は「電話じゃなきゃダメだから電話したんだ」と一喝したそうです。いいこと言いますよね。
少子化が叫ばれる中、誤った方向で若い人を大事にし過ぎると、オーバーでなく国が滅びますよ

うちの90になるおふくろがこんなことを言ってました。「家の中で立てるべき人を立てないと家庭円満にならないよ」って。“電話野郎”の話ってそんなことにもつながってきますね。最近は“権威”とか“威厳”とかが疎んじられる傾向にありますからね。

建設的な自由な意見というのは健全ですが、わがままは単に幼稚で不快なだけです。それでも“電話野郎”だって反省はしますよ。若い人に頭に来たら、しばしほとぼりが冷めるのを待ってメールという活字に頼るのは、それは、それで大事なことだと思います。
“電話野郎”のことをもっと知りたい方はこちらのサイトをどうぞ。
不愉快になったら、この“メール野郎”とでも壁に向かって発散してください。

電話野郎もメール野郎も佳いお年を!

    佐々木 正洋
    佐々木 正洋
    1977年アナウンサーとしてテレビ朝日入社。16年間担当「夕刊キャッチアップ」の最高視聴率16%は今だ破られず。また、2002年出版の「ちょっとしたコツで誰でも『上手な話し方』が身につく」は、当時現役局アナとして近年初1万部を突破。猪木の闘魂ビンタの元祖。2012年独立。テレビ、ラジオで活躍の他、各種イベントの司会や講演を行い、「雑誌ネット」で記事批評を載せ、駒沢女子大学で講師を務める。インターネット、新聞などで世相を斬る、コラムニストでもある。北九州市観光大使